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2022年11月11日 19:33
こんにちは。 間が空いてしまいましたが、自主企画「馴れ合いはいらねぇ。それぞれの作品を取り敢えず10話まで読んで、率直な感想だけを述べるんだ。」の趣旨に沿い、第12話まで読ませていただきました。 やはり文章力は高く、世界観や人物の作り込みも丁寧だと思います。おそらく1ページごとの文字数がそこまで少ないということはないと思いますが、文字数や設定の重厚さが負担にならないくらい、とても読みやすいです。また、1話ごとに興味を引く展開があり、次の話が気になるように構成されていると感じます。 キャラクターに関しては何と言っても主人公のアトさんが魅力的です。仕事を引き受けたからには困難やストレスにも挫けず立ち向かっていく姿は、読者として応援せずにはいられないものだと思います。 ただ、一方で本作の最重要キャラクターであろう泱容が、事あるごとに彼女を「不細工」だ「猿」だと罵るので、僕個人としては、外見の良さが強調されたり、境遇のつらさやアトさんと打ち解けていく様子が描かれたりしたところで、彼の株が上がる余地はまだ全然ないように思っています。 おそらく、泱容は偉そうに構えておきながら精神年齢が低く、特に恋愛らしい恋愛をしてこなかった、それを反映してこの描写になっているのでしょうから、人物造型として間違っていないと思います。しかし、僕が思うに一般的な感覚では、女性を攻撃する時とりあえず顔の悪口を言う男性って、(人間観が浅はかな点で)幼稚で底が浅い、(同じことばかり繰り返す点で)愚鈍で面白味がない、(女性の顔さえ攻撃しておけば相手を傷つけられると思っている点で)無教養で器が小さいなどネガティブな印象しかない気がします。「最初は嫌な奴だったけど、打ち解けてみると……」という展開はジブリ映画でも少女漫画でもよくあるものですが、さすがに嫌悪感(ヘイト)が高すぎないでしょうか。いや、でも、最初はこれくらいの方がいいのかな……(まとまらない話ですみません)。 物語の方向性に関しては、最初の印象では政治系の駆け引きがメインの話と(僕が勝手に)思っていたものの、ふたを開けてみると、後宮恋愛モノとしての側面が意外と強かった、という印象です。もちろん、政治や人間関係の駆け引きに文句があるわけではなく、個人的にちょっと意外だっただけです。 どうしてこんな印象にあるのか考えてみて、確信がないながらに思ったのは、もしかすると心情描写が理由かもしれないということです。本編においてキャラクターたちの心情描写が最も克明なのが、アトさんが泱容の本質を垣間見たり、泱容がアトさんに興味を持ったりする部分のような気がします。いや、これが問題だとは言いません。ただ、それを踏まえて改めて考えると、最も慕っているであろう月映兄さんのことを含め、あらゆる男性を恋愛の文脈で見ていないアトさんが、保護対象の分際で嫌がらせばかりしてくる泱容に、そこまで強く関心を持つのかな、というのが気にならなくもないです。 泱容の顔が良いことはアトさんも認めざるを得ないという描写が、本編中に何度かあったと思いますが、もし彼女が、自分のおしゃれも考えない、不細工だ猿だと言われても怒るだけで自信喪失はしない、男性や恋愛に興味がないという女性なら、泱容の顔面に対しても、初対面のとき顔を覚える以上の反応は見せない、くらいが自然なような……。 また、泱容のつらい境遇を知って自分までつらくなってしまうのは純朴なアトさんらしいとは思いますが、アトさんの境遇なら、自分とは言わなくても身近な人々(それこそ月映兄さんなど)が不条理な目に遭ったという話はよく聞いていそうですし、となれば、多少のことでは動じなかったり、他のもっと悲惨な例を出して「あれに比べればマシか」と考えたりするくらい感覚が麻痺している可能性もありそうです。そう考えると、泱容に対して正面から感情移入しすぎているような気が……。 いや、「アトさんはこういう人であってほしい(泱容なんかに絆されないでほしい)」という僕の願望が強すぎて、そんな気がしているだけかもしれません。 当然ながら、以上申し上げたことが妥当であるにせよ的外れにせよ、書き直せとか路線変更しろとかそういうつもりは一切なく、「僕という一個人はそういうふうに思いながら読みました」という報告程度のお話です。他の皆さんは全然そんなことないかもしれません、というか、誰も僕みたいには思わない可能性の方が高いと思います。 また、最後にもう一度申し上げておきたいのですが、本作は間違いなく、完成度が高く、物語も人物も面白く、読んでいて引き込まれる作品です。もっと多くの皆さんに読まれ、ふさわしい評価を得ることを願っております。 長文失礼しました。
作者からの返信
特に恋愛を意識するつもりは無かったのですが、泱容がどうにも粘着…強い系女子は寄りかかられる…そんな中でも彼女の思うままの答えを最後出せるようにしてやりたいって親心ながら思っていたりするのですが。そうなんですよね。泱容は名前が“泱泱たる水を湛える大器”何て名前のくせに、チョー器ちっせぇ奴なんですよね~アトがこの男に引っ張られてるのは“ほっとけない弟”だからなんですよね。どっかで弟エピでも入れて重ね合わせる場面を入れるべきですかね……。その点、器用で何でもできちゃう月映はアトからすると“安心できるお兄ちゃん”ゆえに構う対象ではない、というか、むしろ足引っ張らないようにしなきゃっ!!なんて、いらん気遣いをしてしまっているのです。まぁ、泱容にはこれから苦しんでもらおうと思ってますがね!!わーはははははははっ!苦しめぇ!苦しむが良いいわぁ〜っ!!自分が撒いた種に苦悶するがいい!!!
こんにちは。
間が空いてしまいましたが、自主企画「馴れ合いはいらねぇ。それぞれの作品を取り敢えず10話まで読んで、率直な感想だけを述べるんだ。」の趣旨に沿い、第12話まで読ませていただきました。
やはり文章力は高く、世界観や人物の作り込みも丁寧だと思います。おそらく1ページごとの文字数がそこまで少ないということはないと思いますが、文字数や設定の重厚さが負担にならないくらい、とても読みやすいです。また、1話ごとに興味を引く展開があり、次の話が気になるように構成されていると感じます。
キャラクターに関しては何と言っても主人公のアトさんが魅力的です。仕事を引き受けたからには困難やストレスにも挫けず立ち向かっていく姿は、読者として応援せずにはいられないものだと思います。
ただ、一方で本作の最重要キャラクターであろう泱容が、事あるごとに彼女を「不細工」だ「猿」だと罵るので、僕個人としては、外見の良さが強調されたり、境遇のつらさやアトさんと打ち解けていく様子が描かれたりしたところで、彼の株が上がる余地はまだ全然ないように思っています。
おそらく、泱容は偉そうに構えておきながら精神年齢が低く、特に恋愛らしい恋愛をしてこなかった、それを反映してこの描写になっているのでしょうから、人物造型として間違っていないと思います。しかし、僕が思うに一般的な感覚では、女性を攻撃する時とりあえず顔の悪口を言う男性って、(人間観が浅はかな点で)幼稚で底が浅い、(同じことばかり繰り返す点で)愚鈍で面白味がない、(女性の顔さえ攻撃しておけば相手を傷つけられると思っている点で)無教養で器が小さいなどネガティブな印象しかない気がします。「最初は嫌な奴だったけど、打ち解けてみると……」という展開はジブリ映画でも少女漫画でもよくあるものですが、さすがに嫌悪感(ヘイト)が高すぎないでしょうか。いや、でも、最初はこれくらいの方がいいのかな……(まとまらない話ですみません)。
物語の方向性に関しては、最初の印象では政治系の駆け引きがメインの話と(僕が勝手に)思っていたものの、ふたを開けてみると、後宮恋愛モノとしての側面が意外と強かった、という印象です。もちろん、政治や人間関係の駆け引きに文句があるわけではなく、個人的にちょっと意外だっただけです。
どうしてこんな印象にあるのか考えてみて、確信がないながらに思ったのは、もしかすると心情描写が理由かもしれないということです。本編においてキャラクターたちの心情描写が最も克明なのが、アトさんが泱容の本質を垣間見たり、泱容がアトさんに興味を持ったりする部分のような気がします。いや、これが問題だとは言いません。ただ、それを踏まえて改めて考えると、最も慕っているであろう月映兄さんのことを含め、あらゆる男性を恋愛の文脈で見ていないアトさんが、保護対象の分際で嫌がらせばかりしてくる泱容に、そこまで強く関心を持つのかな、というのが気にならなくもないです。
泱容の顔が良いことはアトさんも認めざるを得ないという描写が、本編中に何度かあったと思いますが、もし彼女が、自分のおしゃれも考えない、不細工だ猿だと言われても怒るだけで自信喪失はしない、男性や恋愛に興味がないという女性なら、泱容の顔面に対しても、初対面のとき顔を覚える以上の反応は見せない、くらいが自然なような……。
また、泱容のつらい境遇を知って自分までつらくなってしまうのは純朴なアトさんらしいとは思いますが、アトさんの境遇なら、自分とは言わなくても身近な人々(それこそ月映兄さんなど)が不条理な目に遭ったという話はよく聞いていそうですし、となれば、多少のことでは動じなかったり、他のもっと悲惨な例を出して「あれに比べればマシか」と考えたりするくらい感覚が麻痺している可能性もありそうです。そう考えると、泱容に対して正面から感情移入しすぎているような気が……。
いや、「アトさんはこういう人であってほしい(泱容なんかに絆されないでほしい)」という僕の願望が強すぎて、そんな気がしているだけかもしれません。
当然ながら、以上申し上げたことが妥当であるにせよ的外れにせよ、書き直せとか路線変更しろとかそういうつもりは一切なく、「僕という一個人はそういうふうに思いながら読みました」という報告程度のお話です。他の皆さんは全然そんなことないかもしれません、というか、誰も僕みたいには思わない可能性の方が高いと思います。
また、最後にもう一度申し上げておきたいのですが、本作は間違いなく、完成度が高く、物語も人物も面白く、読んでいて引き込まれる作品です。もっと多くの皆さんに読まれ、ふさわしい評価を得ることを願っております。
長文失礼しました。
作者からの返信
特に恋愛を意識するつもりは無かったのですが、泱容がどうにも粘着…
強い系女子は寄りかかられる…
そんな中でも彼女の思うままの答えを最後出せるようにしてやりたいって親心ながら思っていたりするのですが。
そうなんですよね。
泱容は名前が
“泱泱たる水を湛える大器”
何て名前のくせに、チョー器ちっせぇ奴なんですよね~
アトがこの男に引っ張られてるのは“ほっとけない弟”だからなんですよね。
どっかで弟エピでも入れて重ね合わせる場面を入れるべきですかね……。
その点、器用で何でもできちゃう月映はアトからすると
“安心できるお兄ちゃん”ゆえに
構う対象ではない、というか、むしろ足引っ張らないようにしなきゃっ!!
なんて、いらん気遣いをしてしまっているのです。
まぁ、泱容にはこれから苦しんでもらおうと思ってますがね!!
わーはははははははっ!
苦しめぇ!
苦しむが良いいわぁ〜っ!!
自分が撒いた種に苦悶するがいい!!!