第25話いとこと俺と泣き虫と
「結愛ー。でてこーい。」
あれから10分程トイレから出てこない。
何度か謝ってはみるものの応答もなく、俺はただトイレの扉に向かって謝っていた。
「なー、結愛悪かったって。もっと構ってあげたら良かったよな。」
「うるさい!それじゃあ私が構って欲しかったみたいじゃん!」
実際そうだと思ったが、さすがに口には出来なかった。
外では相変わらず雨が降っていた。
「お腹空いたし一緒にご飯食べよ?」
「食べたくない。」
ずっとお姉ちゃんをやっていたからかなのか、高校生とは思えないくらいいじけている。
「じゃあ、俺はどうしたらいいんだ?」
「…。」
返答はなかった、自分で考えろって事だと思う。
正直もうめんどくさかった。
喧嘩とか含めてめんどくさい事になりたくないから、今まで人とあまり関わってこなかった。
咲良と別れたのも半分近くはそんな理由だった。
「結愛ー。明日帰るんだろ?時間もったいないから早く出てこいよ。」
「やだ!」
「なーガキじゃないんだからさー」
「帰りたくない…。」
聞こえるか聞こえないかの声で結愛はそう言った、正確には俺にはそう聞こえた。
「じゃー居ればいいだろ?」
めんどくさくなった俺はついそう言ってしまった。
「…。」
「俺ももうすぐまた仕事始まるけど、居ればいいだろ?」
もう一度俺が口にした時、外で大きな音が聞こえた。
ゴーンッッッッッッッ
一瞬の出来事で俺は言葉が出なかった。
家のすぐ側の広場に雷が落ちていた。
俺は咄嗟に結愛が心配になった。
「おい!結愛大丈夫か!!?」
焦っていたか閉まっているトイレの扉に手を掛ける。
ガチャッ
「お゛に゛ぃぃぃぃぢゃぁぁぁんーー。」
扉はいつのまにか鍵がかかっておらず、大泣きした結愛が飛び出してきた。
膝立ちになり、泣いた結愛を俺はそっと抱きしめた。
泣きながら結愛は言った。
「ごめ゛んなさぁい。ごめ゛んなぁさい。」
俺は結愛の頭と背中を優しく撫でた。
「居たきゃいればいいだろ?それじゃダメか?」
同時に俺のお腹にある結愛の頭が2度縦に首を振り、2度横に首を振った。
5分程で結愛は泣き止んだ。
「とりあえずご飯食べよっか?」
「…うん。」
結愛を机の前に座らせた。
夕飯はもうほとんど準備は出来ていたので、最後の仕上げをした。
片方には粉チーズをかけバーナーで炙り、ついでにベーコンも炙り、炙ったベーコンをもう片方のお皿にかけて完成した。
出来上がった料理を机に運んだ。
「…お兄ちゃん、こんなんに食材あった?」
チーズをかけた焼きカレーと、炙りベーコンのサラダを出した。
「カレーは結愛の作ったカレーだぞ?少し香辛料とか足して味は変えてるけどな!サラダは…」
結愛がまた抱きついててきた。
「…お兄ちゃん、ありがと。」
結愛のスキンシップが増えてきた。
「抱きつくのはいいんだが、後にしろ?早くご飯食べるぞ?」
スッと俺から離れ、俺も席に着いた。
「よし、食べるか、いただきます。」
いつもみたいに声は揃わなかったが俺につられて結愛も言った。
「いただきます。」
いとこのJKが俺に恋をしている エイヒレ @eichan31
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