第4話 勇者初のハニートラップをかけられる。

「大丈夫だったか?少年。」


「ごめんなさい。マモルさん。」


「まあ別にいいさ。ノソフィリアが何だかわかったし、次は俺も気をつける。」


何とか毒樹から離れたマモルたちは森を超えてとりあえず、一番近い宿に泊まることにした。だがまず一つ問題がある。


「で、あんた誰さ。」


アルマが使い物にならなくなった時、即座にマモルを助け毒を治癒までしてくれたこの紫のローブの女。ウェーブのかかった赤紫の髪は背中まで伸びている。宿まで運んでもらったが一体何者なのか。


「ああすまない。私は通りすがりの魔道士ベータだ。低級モンスターしかいない森から中級の毒樹の香りがしてね。向かったらたまたま君たちがいたわけさ。」


魔道士、なるほど。どおりで攻撃魔法も拘束解除も毒治癒もできたわけだ。香りだけで敵がわかるとはそれなりに強いのだろう。


「なるほどね。ありがとう、俺は勇者マモルこっちは僧侶のアルマ。二人で魔王を倒す旅に出てるんだ。」


するとベータは妖艶な笑みを浮かべた。


「ほう、それは興味深い。マモルはまだ完全にパーティを組んでないのかね?」


「えっ、そうだけど?」


「私も入れてくれぬかね。ちょうどパーティ探しをしておったのだ。」


「まじで?いいの?俺のステータス画面見た?」


マモル目当てでもなく卒業式の後にパーティを組まないやつがいたなんて、めずらしいこともあるものだ。そしてだんだんと自分の性癖を見せるのに抵抗がなくなってきていて焦る。普通に女の子に「あ、僕ドMですけど大丈夫ですか?」と間接的に聞いてしまっている…!


「そんなものさっきの状態から大体把握できるものだよ。マモルこそ私のステータスは見たのかね?」


「えっと、どれどれ?」


自分以上に辱めを受ける性癖などない気がするので、大体のものは…


ベータ

職業:魔道士 魔力:867 HP:459 攻撃力:301 防御力:316 性癖: へべフィリア


「ごめん、へべフィリアって俺知らないや。それ以外も特に問題ないし、いいよ。」


「マモルさん…これ少年愛好家のこと、ですよ?」


少年愛好家?


「え、だって別に良くね?俺たち同世代だし、少年もくそもないし。」


「…マモルは嬉しいことを言ってくれる。私はマモルのこと気に入ったぞ。私は君と同世代にまだ見られるということもわかった。」


「お前、近い年じゃないの?」


「少なくともマモルの祖母の数倍は生きているはずだ。まあ良い。」


バッとベータがローブの前を開くとバニースーツに黒いガーターベルトとこれまた年頃のマモルには刺激の強い服装をしていた。


「ちょ、ちょっとローブを…着て?」


「そんなに顔を赤くして…可愛いな。私をパーティに入れてくれたのだ。マモルの思うように私を使ってくれて良いぞ。そこの僧侶と違って私はきちんとお前の思う通りになんでもする。ただお前だけを愛させてくれればな。」


柔らかいベータの肌が軽くマモルに当たる。マモルにもわかる。この年齢詐欺魔道士はいわゆるショタコン(ベータの年齢的にマモルもはいる)なのだ。どおりでパーティもなかなか組めないはずだ。しかし彼女はステータスも高いしやはり長旅だ。二人よりは三人のがいい。


「ま、まあいいけど。ローブ!ローブは着てください。」


「そうか?マモルが言うならそうするが。」


が、性癖ステータスに悩まされる日々は続きそうである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

パーティ組もうとしたら他認識ステータス画面に性癖が表示される件について〜もう勇者やりたくありません〜 おきたくん@沖野聡大 @okitakun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ