四十代のおっさんです。
こうしてカクヨムで交流出来るのも何かのご縁、感想を書かさせていただきますね。いやいや、筆者様は受験生何ですから、まずはキチンと睡眠をとって、頑張って勉強してください。ガチでお願いします。
1題名が良い
題名だけでかなり惹かれる。高校生の時は、自分が自分である事を強く認識し始める時だった気がします。すると言う事は、昨日の自分と今日の自分が明らかに違う事に気付いてしまうという事で、とすると、日常で見過ごしてきた風景が全く違って見えてくるという事になるかと思います。自分が自分でなくなる、と思うことはつまり時間軸において他者の立場に視点を置けるようになる。題名にあるとおり、「僕」であった時間に点を置いて、そこから離れていく、「遠ざか」っていくと表現されているのにまずグッときました。遠ざかると、僕は僕じゃなくなっていくんですよね。いずれは回帰する可能性はあるのですが、それはこれから先の筆者様次第、という事になるかと思います。
2主人公が残念
ここに共感を覚えました。あまりパッとしない高校生活を送ってきた僕も、何か身に覚えのある感じなんですよね。妙にボディータッチが多い同級生の女の子とか。何かと絡んでくる女の子とか。勘違いしちゃうってそりゃあ、って言う。僕が高校生の時はLINEとか無いので、そこら辺の距離感は分からないのですが、そういう女の子いたなぁって思いました。だって、告白する気満々の男に「公園へ来て」って言われて「しょうがないなあ」って返す女の子ですよ。完璧男の子弄び系ですよ。ギャル系ですよ。あ、今ギャルっているのかな? ルーズソックスとか履いてるのかな。ヤマンバはいないよね? 脱線。でも今は清楚な感じで残念な男の子に期待を持たせる子が多いのかも知れない。そっちの方がダメージでかい。何となく、主人公が好きになるタイプの女の子は清楚系女子という気がする。時代って奴なのかなぁ。でも、主人公の男の子がとっても青臭くて、繊細で、おじさん目線からすると「頑張れ! これから絶対良い事あるぞ!」って応援したくなっちゃうんです。この残念感は世代を駆け抜けてる。共感性が高い、と言えると思います。数学で計算が合わなくてつい怒鳴っちゃうところとか、もう赤面しちゃうくらい身に覚えあります。
3「。」を付けないで心情を書くテクニック」
〉騙されてなんかないよ
〉騙されたけど、騙されてないんだ
胸が痛い。本当にそう。本当に主人公は「君」の事が好きで好きでたまらないのが伝わってきます。男は基本馬鹿なんですよね。そこが愛すべきポイントになっている。哀愁というか、そういうものが感じられてとても良いと思います。
惜しいところは、本当に僕の読解力の問題で、実は最後がよく分からなかったんです。主人公が飛び降りた、後に「それを確認してから顔を上げ、その場に背を向けて歩き始めた」のですが、可能性としては
1無傷だった
2死んで霊魂として立ち去った
のどちらかと思うのですが、何となく2のような気もするのですが、1だったら主人公身体的にすげえと思うけど「それを確認してから」の「それ」はじゃあ何なのだ、という事になる。恐らくそれは「自分の死体」である可能性が高いと僕は考えます。大穴で、飛び降りたのは概念・精神としての主人公で、実は身体的には飛び降りていないとかで、「それ」は一度死んだ概念としての自分だとか。
いずれにせよ、ここは大切な所であるので、死んだ生きたははっきりした方が読者的にはハッピーになれます。いや、ハッピーって、幸せっていう意味じゃなくて、「ああ、こういう事になるのね」と確信を持って「読んで良かった/悪かった」の感想をもてると思うのです。締め方は大変難しい所で、好みも分かれる点ではあるのですが、飽くまで僕はその方がすっきりして好きだ、という風に受け取っていただけると嬉しい。痛かった、でもギリ歩けて周囲の車のライトが眩しかった、とかでも良いし、空中に浮いて歩道橋のしたを覗き込む『ビッグチャレンジのおっさん』が遠ざかっていった、頭頂部禿げてた、とかでも良いし、ここはモヨッとして高まった気持ちの成仏の仕方に迷ってしまいました。そこだけが、僕が気になった所でした。
文章がとても素敵だし、(僕みたいなおっさんからすれば)小さい問題だけど、高校生にとっては致命的な誤解あるいはすれ違いと言った点がしっかりと実感をもって書かれていたと思います。とても好みの文体です。受験勉強中は小説を書くのがすげー楽しいと思いますが、まずは勉学に励んでいただき、是非また書いていただければ嬉しいです。
上から目線の感想となってしまいましたら、申し訳ございません。
お互いフォローもしましたし、今後ともちょくちょく、よろしくお願い申し上げます。いろいろ、楽しんでくださいね!
追記
作者様の近況ノートにて、このレビューで投げかけた謎を解説いただきました。このレビューを読んでから本文に向かう方も、本文からレビューを読む方も、是非作者様の近況ノートに一度目を通してみるのもよろしいかと思います。補足として追加させていただきました。