SS1 エイプリルフール

この話はSSスペシャル小説です。


本編とは全く関係ありません。


一つのお遊び回として読んでくれれば幸いです。


また、こういったSSシリーズもたまーに投稿していこうと思います!


それではSS1どうぞ!



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目が覚めた。


今日もいつもどおり朝起きてスマホを操作する。


すると、一通のラインが来ていた。


郷田からだった。


『今日俺の誕生日なのに0時にお祝いなしかよ!ひどくねえか!ムカついたから昼飯くらい奢れよ!12時に駅前集合な』


これが0時3分に送られてきていた。


昨日は久々に12時より早くに寝ていたので気づかなかった。


てか、郷田の誕生日今日だったのか。


カレンダーを見ると今日は4月1日。


俺はラインに『わかった。おめでとう』と送っておいた。


少しすると俺の家には続々と女の子たちが集まってくる。


そんな中元気な女の子も来た。


「おにーちゃーん!おはよー」


「おはよー」


いつも通り元気な子だ。


「大変だよお兄ちゃん!」


何故かあいちゃんはニヤニヤしながら言った。


「今日お兄ちゃんがあいといっぱい遊ばないと地球が爆発しちゃうんだって!」


最終的にはそんなことを笑顔で言った。



そう、今日はエイプリルフールだ。


さっきツイットーのトレンドに『エイプリルフール』が入っていて気づいた。


流石は小学生。


嘘の規模がすごすぎる。


しかし俺はもう高校生。小学生の嘘に引っかかってあげるのが仕事だ。


「なにー?!それは大変だ!でも、今日はお昼から友達と遊ぶ約束があるから地球が潰れてちゃうのか……」


そう言っていかにも落ち込んでるアピール。


「あ、でも、朝だけでもいっぱい遊べば大丈夫って言ってたかも!」


誰がだよ……。


そんなことは口には出さない。


「よかった。それじゃあ遊ばないとね」


そう言うとあいちゃんは喜んでいた。



遊び終えたときにネタバラシをされたが、「なにー?!全然わからなかったー!」と言っておいた。



そして今は駅前に来ている。


郷田との待ち合わせだ。


俺は郷田の誕生日だということをかなり怪しんでいる。


いかにもエイプリルフールの嘘の定番っぽい。


「おう、京」


「おう、お前誕生日って嘘だろ?」


だからいきなり聞いてやった。


すると、郷田は大きくため息をついた。


「お前もなのか……。みんなそう言うんだよ。だって4月1日じゃん。みんな嘘だって言うんだよ。それで今まで一度も今日祝われたことないんだよ。京なら信じてくれると思ってたのに……」


え!ほんとなの?!


郷田はかなり落ち込んでいる様子だった。


「ご、ごめん、まさか本当だとは思わなく……。め、飯、奢るからさ。それとなんかプレゼント買ってやるから元気出せよ」


すると、郷田は俺を一度見て次は目元を手で擦る。


もしかしたら泣いていたのかもしれない。


今日ちゃんと来ておいてよかった。



郷田と一緒にいろいろなところを巡り、ラノベをプレゼントとして数冊買ってあげた。


郷田は本当に嬉しそうだった。


そして今はもう別れようとしていた。


「ほんとに今日はありがとな」


「気にすんなよ。誰も郷田を祝わなくたって、俺はこれからも祝ってやるからよ」


言うと、郷田は笑顔で「ありがとな」と言った。


「それじゃあな」


俺が郷田に別れを告げた。


「あ、京、お前に言わなくちゃならないことがあるんだ」


「なんだよ?」


「嘘だから」


は?


「は?何が?」


見ると郷田は満面の笑みで言った。


「いやだから、誕生日って方が嘘なんだよ」


「おい、どう言うことだ?」


「いや、だから全部嘘なんだって。エイプリルフール。いやー、嬉しいなー。だってこれからも4月1日に祝ってもらえるんだから。そうなんだろ?」


嘘……でしょ……


「ち、ちげぇよ!祝うってのが嘘なんだよ!エイプリルフール!」


なんかムキになってしまった。


「そっか……、それじゃあお互い嘘つきだな」


「う、うるせえ」


え、エイプリルフール……怖い。



やばい、誰かにこの気持ちをぶつけたい。


そうか、エイプリルフールだと言うことを使えば一ノ瀬も騙せるんじゃないか?


どうにかして一ノ瀬に勝ってやる!



『今どこ?』


そう送ると、すぐに『自分の部屋』と返ってきた。


俺は『少し相談があるから部屋行ってもいいか?』と送った。



そして今、俺は一ノ瀬の部屋に来ていた。


「どうしたの相談って?」


初めは適当に話す。相手の警戒心を薄くするためだ。


そして、俺は突然一ノ瀬を襲った。


今はベッドで一ノ瀬の上になっている感じだ。


一ノ瀬に何をしたらいいか考えたが、何もなかった。


少し襲うふりをして一ノ瀬の驚く顔を見ようかなと言う感じだ。


俺は一ノ瀬の両腕を押さえて抵抗できないようにする。


よし、これで一ノ瀬は少しは……


「け、京くん?!ど、どうしたの?!……とでも言うと思ったのかな?」


あれ?全く抵抗してない。


むしろめっちゃ笑顔。


「さぁ、襲えるのなら襲ってきたまえ!相手になってあげよう!」


くっ!たしかに襲う気なんて全くない。


で、でも、どうせ一ノ瀬だって俺に襲う気がないと思っているからこんなことを言っているんだ。


俺は緊張しながらも一ノ瀬の太ももに手をかける。


これでどうだ!


一ノ瀬は一瞬驚いたが、さらに笑みを見せた。


「そうか、本気なんだね。それじゃあ私も脱がなくちゃね」


そう言うと、手の拘束をはらい、服を脱ぎ始めた。


おへそがあらわになっていた。


「う、嘘だから!え、エイプリルフールだから!」


俺は思わず言ってしまった。


その言葉を待っていたと言わんばかりに満面の笑みに。


「わかってたよ。そんなことだろうと思ったよ。後もうひと頑張りで私もちょっとは焦ったりしたかなー」


くそっ!やはりこの女には勝てないのか!



その日もいつも通り夕食をみんなで共にした。


そして今は4月1日が終わろうかという時間。


真昼が突然俺の部屋に入ってきた。


服装はかなり薄着だった。


「どうしたんだ?」


真昼は何やらもじもじしている。


「い、いやー、京くんも男の子だし……、できることがあったらしてあげようかなって思って……」


なるほど、エイプリルフールネタで俺と同じ考えに至ったというわけか。


なるほど、それなら彼氏として引っかかってあげようかな。


俺は勢いよく真昼をベッドに押し倒した。


真昼はかなり驚いた様子だった。


さっきの一ノ瀬と同じように太ももに手をかける。


真昼の身体がビクッと跳ねた。


少しおどかしすぎたかな。


「け、京くん!え、エイプリルフールだから!ほら!」


そう言って俺にスマホのロック画面を見せる。


おっと……


そこに書かれていたのは4月1日ではなく『4月2日』だった。


俺の反応がおかしかったからだろうか。真昼も画面を確認する。


「あ、あああああああ…………」


震えた声で俺の方を見る。


「えっと……どうしよっか?」



こうして2人の4月1日の夜は終えた。

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一人暮らし初の隣人は超絶美人の幼馴染でした。 タキ @ktakta0035

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