第四章 第十八話
エレベーター内
「お前なぁ……また社員証忘れたのかよ……作戦に対してこう、もっとだな。その……やる気あんのかよ。全く呆れたもんだ……」
実は、脱退前に社員証は自宅に配送されていたから、受け取りはしていたのだけど、そんなことは色々あったからすっかり忘れていた……
「申し訳ない。でもまぁ、おわりよければ全てよしって言うだろ?まぁ大丈夫大丈夫!」
必殺!笑って誤魔化す!!これぞ、最高の究極奥義。
下につくと、さっきのおじさんがいかにも高そうな高級車を用意してくれていた。
「坊ちゃんから事情は聞きました。しばらく商品開発のために、泊まり込みで行くんだとか……なかなか、プライドの高い人ですが、何卒よろしくお願いしますね!そして、この車は友好の証だと社長からみなさんへのプレゼントだそうです」
「は?……「「えぇええええええええええええ!!!!」」」
三人は驚いた。友好の証として、普通、新品の高級車を送るか?さすが金持ち……恐るべし。
「待たせたね~行こうか。さ、神谷君運転をお願いするよ」
「なんで俺が免許持ってること知ってる?!?!」
「このビルに運転してきているのよくカメラに写ってたから。なんであの年で運転してるんだろ……って思ってたけど、さすが組織だね。やっと謎が解けたよ」
観察力も一流のようだ。これは使えるな。
「あとどのくらいで着くのだね?」
「ん~渋滞してるからあと2時間くらいかな……」
「2時間?!長い!って、何故高速使わないんだよ!」
さすが一流財閥のお坊ちゃん。待つことには耐性がないようだ。
「だってお金かかるし……うちの組織金欠だから、節約って言われたし……」
「はぁ。山下さんから聞いてないんだね。この車のETCは全部ベリト財閥に請求が行くから、君たちの痛手にはならないよ……ガソリン代も整備費も全部そこのサンルーフに入っているクレジットカードを使えばいいよ……」
なんなんだ!どこまで至れり尽くせりなプレゼントだよ!ETCにクレジットって……もう、理解の範疇をこえてるな……
そして、一行は威勢のいいエンジン音を響かせながら高速へと向かった。
「ほらね?一時間かからず着いたでしょ?」
「そうだな。感謝するよ……」
相変わらず閑散としているシルフ駐車場。
「みんなお帰り~」
石川さんと、良子さんが出てきた。
「みんなお疲れ様!克実と一にはしばらくの休暇が出てるわ。ゆっくりするといいわ。今日もこれで上がっていいわよ。お疲れ様。柊人君は話があるからあとで第一会議室へきて。それでシリウス君は検査があるから石川さん――このおじさんについて行って」
「了解」「はい」「おけぇですぅ」「分かりました」
そして、四人は散った。
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