第二章 第三話
「おはようお兄ちゃん!おきないのぉ~?」
「……おはよう~って瑞穂?!」
俺は目を疑った。瑞穂が制服を着て自分の部屋にいるではないか!
いつもは登校時間ギリギリまで寝てるくせに……
「どした?!今日はやけにはやいな~」
「あぁ~早いというか……お兄ちゃんが遅すぎるだけじゃない?」
「ん……」
枕元においてあったスマホを見た<8時10分>
「やべぇ遅刻だ!!!」
この家から養条学園までは自転車で約25分朝礼開始は8時40分
瑞穂の通う、
いつもは6時過ぎには起きる柊人が遅刻ギリギリの時間に起きるなど今まではなかったことだ……
「起立・れ……」
バン!!!!!!!
「セーフ?」
クラス中の視線が俺に集まった。不幸にも今日に限ってチャイム数秒前に朝礼が始まろうとしていたのだ……
「四条君?まだ本鈴はなってないから大丈夫よ~でも四条君が遅刻ギリギリなんて珍しいわね……」
「面目ないです……」
クラス中にざわめきが起きる。
キーンコーンカーンコーン
どうして遅刻ギリギリまで寝てしまっのだろう……北斎の事が気になって眠れなかったのか?いや……そんな事はないはずだ……まぁいい。気を取り直して、今日はいつも以上にステルス性能を上げて生活しよう。
<遅刻ギリギリに登校してしまった……明日からは気を付けよう。やっぱり北斎の事が気になってるのかな?わからない……>
こっちの日記帳はもう他人には見せれないな……まぁ元から見たがる奴なんていないけどさ……
家の日記帳は妹がたまに読むけど、家の方はわりかし真面目に書いてるから問題なし。だけども、学校の日記帳は、俗にいう裏垢みたいなものだな。
「起立・礼・着席」
でも。ほんとに俺らしくないな。こんなにも北斎の事が頭からはなれないなんて……
「よし、数学の授業はじめるぞぉ~」
まさか恋?!いや、そんなはずはない!俺には冬美(アニメ「今一度恋をしたいのです!」に登場するキャラクター。主人公のお姉ちゃんで、成績性格容姿共に抜群!しかしド天然。柊人にとってはドストライクの天然お姉さんなのである!)がいるから!!
そんな俺が3次元に恋だと?しかも北斎に?
ないない……!!!!いくら瑞穂にからかわれたからってこんな事を考えてしまう俺はやはりどこかおかしい……はぁ。気分転換に少し寝よう(どうせ寝てようが起きてようが存在感なくてバレないし……)
「こら四条君!起きなさい!」
「んぁ?!」
数学の時は普段は何してようが何もいわれないのに、今日は珍しく起こされた。
しかし、柊人を起こしたのは岩清水先生だった。
「岩清水先生!なんでここに?!」
「何いってるの四条君…もう終礼終わったわよ?」
その言葉の通り、周りには誰もいなかった。グラウンドの方からは色んな掛け声が聞こえてくる。
「え?だって俺は数学の授業を受けていたはずだぞ……そうかこれは夢なのか……」
「夢じゃないわよ。何寝ぼけたこと言ってるの。まさかあなた一限目からいままでずっと寝てたの?北斎さんが居なくなったからって気を抜いちゃだめよ!」
「一日寝てただと?どうして?!って…北斎は関係ないだろ!」
「今日の四条君はなんか変よ…朝から遅刻ギリギリだし。体調でも悪いの?」
「いえ…特には……」
「そう、なら早く帰りなさい。部活は入って無いんでしょ」
「はい。迷惑かけてスイマセン…」
俺は先生に一礼をして教室をあとにした。
「ただいまぁ」
…………
だれもいないか……
「ん?」
柊人は机の上に置手紙があるのをみつけた。
「お兄ちゃんへ 今日は友達とご飯食べてくるので夕飯いらないです」
相変わらず自由奔放なやつだな……さて、じゃ今日は豪華に……ってわけにもいかねぇな。野菜炒めつくるか……
「いただきます」
キャベツに白菜、ニンジンにキュウリ。ピーマンにセロリ、それによくわからない野菜。
一般家庭の野菜炒めとは違い<四条柊人流とりま野菜いれときゃ野菜炒めだろ野菜炒め>が完成したのである。
味はおいしくはないが超健康的な一品である。
みんなも是非作ってみてくれよな!(当方は一切の責任を負いません。)
「ごちそうさまでした」
皿洗いも慣れた手つきで終わらせ、柊人は日課である過去調べを始めた。
すると、珍しくお父さんからメールが届いていた。
<閉ざされた扉が開いた、なにか異変を感じたら俺の部屋にある金庫をあけてくれ金庫のパスワードは希美子の誕生日だ!>
なんだよ、この厨二病チックな文章それに金庫のパスワードがお母さんの誕生日ってどれだけ愛妻家なんだよ……
にしても異変って今日のやたら長い睡眠は異変にはいるのかな?まぁいいや……
<7月15日 今日は不思議な睡眠をとってしまった。それに父からよくわからないメールが届いた。金庫のパスワードは0709だ。 進歩はなし……>
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