第2話
一ヶ月後、私はまた縁側カフェに行った。そこでまたたけさんを指名し、たけさんのいる部屋に向かった。
「こんにちは」
たけさんは縁側では無く部屋の電気の入っていないコタツに入っていた。今日はちょっと天気が悪いからだよね。私はたけさんのいる向かいに座った。
「牛乳いらんか?」
「あ、はい。飲みます」
するとたけさん、手の辺りをもぞもぞしだし、コタツ布団の中から小さい紙パックの牛乳を取り出した。
「・・・・・!!」
たけさんからもらった生ぬるい牛乳を手にし、絶句した私は考えた。どうしよう、飲もうか?冷たいのが好きだから後で飲むと言おうか?ああでも、たけさんの気持ちを無下に出来ない!
ストローを刺して私はたけさんの牛乳を飲んじゃった。すると、たけさんは言った。
「おばあさんは元気でいらっしゃるかい?」
「あ、はい。今日はデイサービスが無いので家にいます。ママが買い物に連れて行ってるけど、ママ、せっかちであれしろこれしろって煩いからいつも小さくなってる」
「お母さん頑張ってるの」
「あ、そうだ。今度、うちのお婆ちゃんも此処に連れてきて良いですか?」
「いつでもいらっしゃい」
たけさんはニコッと笑った。それからたわいも無い会話をいくつかし、やがて時間が来たのでそれじゃ、また来ますと言った。
「ほ、か。達者でな」
そのあと暫くは学校が忙しくて縁側カフェに行けなかったが、数ヶ月後に行ってみるとたけさんはいなかった。体調が悪くて店には出れず、私がたけさんに会うことはもう無かった。
「お婆ちゃん、来たよ」
「来たか、花梨」
縁側に座っていたお婆ちゃんは私を見てニコッと笑った。お婆ちゃんは昼間は縁側カフェに居るのだ。もう会わなくなった、たけさんとはそんなに知ってる人では無いけど、たけさんと過ごした時間のおかげで自分のお婆ちゃんが楽しく過ごせるようにと思って、この店を進めた。
私は、縁側カフェで過ごしているお婆ちゃんにたまに会いに来ています。
終
縁側カフェ 嬌乃湾子 @mira_3300
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