86 №1『史記』に登場する人物



 以前に3年半通っていた『史記』の講座。コロナでの閉講を経て、この4月よりまた再受講です。


 前回は『史記』の日本語訳に沿って、書かれていることの説明とその歴史的地理的背景についてでしたが、今回は書かれている登場人物一人一人に焦点を合わせて、その人物を深掘りしていく。そういう感じで授業は進んでいます。


『史記』に登場する人物たち、ほんとうにいい男たちというか、あっぱれとしか言いようのない生き様の男たちが多くて。当時の男たちにいい男が多かったのか、それとも司馬遷の描きようがよいのか、わかりませんが。


 日本の戦国時代もそうですが、多くの国が興って戦争が絶えない時代って、命を賭けた男たちが輝く時代でもあるようです。


 しかし、戦いに駆り出される兵士や戦場となる町に住む庶民や女子おんなこどもにとっては、輝くどころか残酷でしかなかったでしょう。


 そしてまた『史記』は、皇帝や宰相や将軍の逸話がほとんどで、一兵卒や庶民はほとんど登場しません。庶民の女性にいたっては皆無に近いかも。


 まあそれは、司馬遷が『史記』を書き残そうとした意義とか、彼の宮廷での役職とかを考えればいたしかたのないことだと思います。




 ところで話は変わりますが、長年大学で『史記』を研究してこられた学者である講師の先生にとっては、『史記』に書かれていることが、歴史的事実であるかどうかということは大変に重要です。


 先生の人生の大半は、その追及のために費やされたと言っても過言ではないことでしょう。


 しかし、『史記』を読み物として楽しみ、またあわよくば自分の書いている中華風ファンタジー小説に役立てたいと思っている私には、書かれていることが歴史的事実であるかどうかにはあまり興味はありません。


 そのために的外れな好奇心丸出しの質問をして、先生を呆れさせたり時にはむっとさせたり。


 そんな私が妄想と独断を駆使して、『史記』に登場するいい男たちの実像虚像を、これから連載しようと思います。



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