81 『三体』(劉慈欣)で、中華エンタメ小説を学ぶ ≪1≫
1月21日の近況ノートにも書いたことだけど、劉慈欣さんのSF小説『三体』を読み始めた。文庫本になるのを待っていたのだけど、もう待ちきれない。
本編は7巻まであって、番外編が2巻もある。
私は長編好きなので長さは気にならないのだけど、(『後宮の烏』も7巻だ)、ハードカバーだと1冊が2千円というのは……。
番外編まで読むと、2万円だ。
まあ、本箱のよい飾りとなると諦めるしかない。それとも、読み終えたら、長女が「メルカリで売れる!」とでも言い出すかも。(笑)
さてさて、現代中国の小説なんて、そしてそれもSF小説だなんて。
たぶん、私の人生で初体験と思い、「劉慈欣さん、初めまして。これからの長いお付き合い、よろしくお願いします!」と、後書きを読んでみたら。
なんとなんと、私、劉慈欣さんのSFの世界、初体験ではなかったのだ。
彼のSF小説を映画化した『流転地球』を観ていた。ただし後書きの説明によると、彼の書いた小説と映画の内容は、かなり違っているものらしいけれど。
それで私も思い出したのだけど、映画『流転地球』については、このエッセイか近況ノートに書いたはず。
日本語字幕の人名と地名のカタカナ表記を理解するのに苦労して、ストーリーが頭の中に入ってこなかったと、おおいに文句を言わせてもらっている。
人名ではなんとか我慢したけれど、地名までカタカナになってしまうと、もうそこは馴染みのある中国という国ではないという感じになってしまい、お手上げ状態となってしまった。
そもそもがこの『三体』の作者の名前を本のカバーで紹介するのに、劉慈欣・りゅうじきん・リウ ツーシン・Cixin Linの4通りあるのだ。
漢字・日本語読み・中国読みはしかたがないとして、英語表記になると、姓と名前がひっくり返るという煩雑さ。
つい最近までは、日本語訳の中国小説に登場する人物の名前は漢字表記で、読みは日本語の訓読みと決まっていたはず。
それが最近、このカクヨムでも中国語読みのルビが振られるようになっている。
私もいくつか読ませていただいた。
どうやら、本場中国の仙教小説というものが、本やアニメでどんどん日本に入ってきていて、それが熱狂的に日本の若い人たちに受け入れられているようだ。
そういう若い人たちにとっては、登場人物の名前は中国語読みで当たり前という感じになっているらしい。
まあ、グローバル化した現実の世界で、実際の中国の人を目の前にすれば、その人の名前を中国語読みで呼びかけるのは当たり前のことではある。
「ああ、時代というものは変化していくものだなあ」
昔々の吉川英治から中国小説の世界になじんだ私としては、面白い転換期に立ち会ったとも思う。しかし、凝り固まった古い頭がこの現状をすんなりと受け入れられるのかといえば、そんなに簡単なことではない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます