66 ファンタジーの世界は烏が大流行り ≪3≫
先日、書店をぶらぶらしていたら、白川紺子さんの『後宮の烏』第6巻が発売になっていたので、さっそく購入した。
帯封に「シリーズ累計90万部突破!」とある。
大ベストラー作品だ。
<烏ものファンタジー小説>を読んだのは、この『後宮の烏』が一番最初だった。
『後宮の烏』はかなり面白い小説だ。
そして、中華ファンタジー小説を書こうとする素人作家のバイブルとなる小説ではないかと考える。
これまでにいろいろとライトノベル系の中華ファンタジー小説を読んできたけれど、やはり年を食った私にはその内容に物足りなさを感じるものが多い。
「そんな展開はないだろう」
「人って、そんなふうに単純なものではない」
「嘴がまだ黄色い若者の思い通りになるほど、世の中、甘くはない」
読みながら、ツッコミを入れてしまう。
そのたびに、物語りの世界から心は現実へと戻る。
中華ファンタジー小説のための勉強として読んでいるとは思っても、やはり「これはすごい! これは面白い!」と、思いながら読みたい。
① 『後宮の烏』の中華ファンタジー小説としての語彙の豊富さ
『後宮の烏』では、中華ファンタジー小説に必要な<語彙>が豊富だ。
後宮の妃たちが住む建物は<殿舎>。
軒下にぶら下がっている提灯は<吊り灯籠>。
後宮の世話をする宦官たちが働いている役所は<内府局>。
『後宮の烏』第1巻の初めの見開き2ページで、すでに中華風語彙が溢れている。
私は読みながら、そういう語彙には蛍光ペンで印をつけるのだけど、本当にありがたい。
ところで、「そんなことをしていたら、気づかぬうちに自分の書く小説が『後宮の烏』に似てくるかも?」という心配が初めのうちにはあった。
しかし、それはいらぬ心配だ。
線を引いても、難しい<語彙>など片っ端から忘れる。(笑)
『後宮の烏』を一度ざっと読んだくらいで、「これは、『後宮の烏』の物真似小説だ」と言われるものが書けるほど、自分に小説家としての天分があるとはどうしても思えない。
でも、ただなんとなく、中華風のイメージを作り上げるために必要な語彙的技術力というのは、あやふやな感じながらも身につくのではないか。
そうそう、<カクヨム>で、内容は薄いのに、使われる中華風語彙はバリバリにすごいという小説にいくつか遭遇した。
ほとんど、10話くらいで未完となり、そのうちに削除されてしまう。
小説である以上は、まずはストーリーが大切だ。
特殊な語彙は、書いているうちに身につくと思う。
(続く)
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