65 ファンタジーの世界は烏が大流行り ≪2≫



 篠綾子さんの『小烏神社奇譚』三部作。

 とりあえず、今のところ三部作。

 この後も、書き続けられるのかも知れないけれど……。




 それの1作品目の『弟切草』を読了。




 登場人物たちの年齢が若いし、陰陽師とかカラスとかヘビそして悪霊も登場の妖しの世界だし、文体も平易なので、篠綾子さんって、ライトノベルから移行してきたばかりの若い作家かと思っていた。

 しかし、ウィキペディアで調べると、教師をしていた若いころから書き続けて、時代小説を多作されている50歳の女性だった。


 この『小烏神社奇譚』が、なぜ、大人向けエンタメ小説であってライトノベルではないのか、ウィキペディアに見た作者の経歴にその一端を見たような気がする。


 <カクヨム>で小説を書いていると、<カクヨム>の世界がすべてのように思い込んでしまうところがある。


 しかしながらやっぱりライトノベルって、書くのも読むのも35歳以下が対象ではないかと、私は思うのだ。

 作家になるという夢を追う35歳以上の大人が、<カクヨム>で開催されている賞を目標にライトノベルばかりを書いていると、あるところできっとその<夢>に破綻がくると思う。


 ライトノベルを好む読者は入れ替わって年齢はいつまでも若いままなのに、悲しいかな、作者はどんどん年齢を重ねていく。その隔たりは、書き続けていて、小説の内容がよくなるとか、文章が上手くなるというものでは、埋められない。

 いやますます、読者と書き手の距離は開いていく。


 <カクヨム>って、小説を書くのにそして小説家になるという夢を追うのに、すごく使いやすく便利なツールだ。しかし、大きな落とし穴もあるということを、利用するものは見抜いていなければならない。


 あっ、でもカクヨムリワードでお金を稼ぐというはっきりした目標を持っているのであれば、話は違ってくるけれど。




 ところで、白麗シリーズを書き始めて、この秋で早いもので3年目となる。


 自分が作り上げた架空の中華大陸という世界で、生きて死んでいく<人間>の愛憎については書ける自信を持つことが出来た。


 しかし、白麗シリーズはファンタジーであるので、<人間>ばかり書いていてもしようがない。人間以外の妖しを登場させて、読者に違和感なく「なるほど!」と言わせなくては。


 しかし、大ベストラーファンタジー小説に出てくる人間以外の生き物の描写は、作り込みがすごくて、そんなに簡単にお手本にして書けるものではない。

『十二国記』の麒麟とか……。


 でも、『小烏神社奇譚』に出てくるカラスやヘビそして悪霊の言うことすることには、人間の日常の生活に根差した平易さがある。

 まずはこういう平易な感じで、次に書く予定の白麗シリーズ③に、妖しを取り入れたいと思っている。





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