46 一夫多妻(美女の需要と供給) ≪8≫


 古代中国のお話を読んだりドラマを見ていると、権力者におもねるために美しい自分の娘を差し出して取り入るというのが、よく出てくる。


 あの時代は一夫多妻であるから、美しい自分の娘は大量生産(!)できたのかと思う反面、やはり美人に生まれるというのは運というのもあるのだから、そんなに上手くことは運ばないのではとも思ったりしていた。


 長年の疑問の一つだった。


 それが解決したのは、呂布と董卓の仲を裂いたというあの有名な美女の貂蝉。





 貂蝉は、王允の養女だ。


 その美しさに惹かれて王允が奴隷市場で買い、実の娘のように諸芸を学ばせて育てた。


 美女を買って、自分の妻や愛人にするのではなく、実の娘として大切に育てるという不思議さ…。そして実の娘として大切に育てたというのに、危険な政治道具として使うという非情さ…。


 ああ、そうなのか。


 将来、政治目的の道具として使われるために、彼女は買われて育てられたのだ。


 しかし、美少女を買って育てても、顔かたちは美しい大人の女となっても、頭の出来が悪かったり、男に取り入るための踊りや歌がまったく下手ということもあるだろう。


 とすると、王允が育てた美少女の養女は、貂蝉以外にも何人もいたのではないか。


 




 美女は、側女・遊女・貢物・褒賞といろいろな使い道があった。

 その中に、政治の小道具としての使い道も。


 そして、需要があれば供給がある。


 美少女を専門に扱う奴隷商人というものが、きっといたに違いない。

 となれば、奴隷商人に美女を供給するものもいたことだろう。


 美少女専門の誘拐団というのもあったことだろう。

 琉球王朝は美男美女の生まれる家系だったので、赤ん坊がよく誘拐されたとか。





 貂蝉がなぜ奴隷として売られようになったかは知らない。


 しかし、奴隷となった過程をいろいろと想像すると、王允に大切に育てられたことに感謝するなんて、本末転倒だと、現代の日本に住む私は思ってしまう。


 

 


 


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