40 一夫多妻 ≪2≫




 人間は、猿の仲間ではチンパンジーにもっとも近いそうだ。


 チンパンジーの群れは、強いオス一頭をリーダーとして、若いオス数頭と多くのメスで成り立っている。

 若いオスもいるということは、フリーセックスだ。

 群れの外にはあぶれオスがうろうろしているから、メスも好みのオスであれば誘いに乗る。


 そして、チンパンジーの子育ては群れで行う。

 子どもが生まれてしまえば、父親が誰かなんて気にしない。


 

 そういう本能を、法律・宗教・道徳で無理やりに押さえつけて、人間はいろんなオスとメスの結びつきの形を考案してきた。


 一夫多妻・一夫一妻・事実婚・通い婚、そして今では性別を問わない結婚もある。

 また、世界の奥地のどこかでは、多夫一妻というのもある。

 あまりにも自然環境が厳しくて耕作地が狭いと、子どもの数を増やさないために、そういう結婚形式を選ばざるを得ない。





 ところで、前回の「一夫多妻・≪1≫」に、皇帝の多くの妻の一人となるという設定で、中華ファンタジーは若い女の子の胸がときめくような恋愛小説として成り立つのだろうか?という持論を展開した。


 最近読んだライトノベル系の中華ファンタジー小説。


 皇帝と仲の良い妃が助け合って、宮中に巣くう妖怪を退治するというお話だった。

 もちろん、若い皇帝には何人もの妻がいて、彼は順番に粛々と夜伽に励み、子どもも出来る。


 しかし、主人公の皇帝と妃は仲良しのまま。

 妃たちの嫉妬とか陰謀は完全スルー。

 妃たちの嫉妬と陰謀はテーマではないと言われたらそれまでだけど…。




 私の好きな華流時代劇ドラマでも、皇帝に見初められて後宮に入る女の子の話はよくある。

 しかし、さすが、本場の中国。

 そこで、めでたしめでたしとドラマは終わらない。


 ヒロインは、幾多の困難を乗り越えて皇后の地位に昇りつめ、男の子を産んで皇太子の座に据える。

 どうやら華流時代劇ドラマでは、そこまでいってこそ、皇帝と愛し愛された女の真の恋の成就となるようだ。


 ライトノベルと歴史恋愛ドラマの違いかなと思う。


 


 

 

 


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