38 古代中国の庶民はどんな家に住んでいた? ≪3≫



 前々回の≪1≫で書いた、中国の豪商の屋敷。

 その屋敷の使用人から、後世の偉人が出たようで、その人があてがわれていた部屋というものも紹介されていた。


 レンガを積んだ細長い建物で、それが窓口2メートル奥行3メートルくらいに仕切られて、10部屋ほどある。その中の1つだ。


 現代の日本に住む私から見ると、それは人が暮らす部屋というより、馬小屋のように思えた。

 豪奢な来客用の部屋から比べると、その差は、あまりにもひどい。


 寝台と椅子を1つ置いたら、あとは何も置けないような狭さだ。

 出入口に戸はなかったけれど、実際に住んでいた時は、板戸だったのか。

 もちろん、窓はない。

 戸を締めてしまえば、昼間でも部屋の中は暗かっただろうと思う。


 屋敷での彼の仕事はなんだったのだろうか。

 後世に名を残した人であるから、書生のような立場であったのか。

 それでも考えようによっては個室が与えられていたのだから、使用人としてはよい立場にいたのではないかと想像する。




 コミック『キングダム』の主人公の信は、奴隷として農家に売られた。

 彼の住まいは、逃亡しないようにと、表から主人が鍵をかける納屋だ。

 藁の束はあっても、寝台とか椅子などはない。

 昼間は働きづめに働く。怠ければ、棒でぶたれる。

 家畜と同じ扱いだ。


 日本の代官屋敷の女中部屋には窓があったが、夜が明けたことがわからないと困るので、板戸は禁止だ。

 それで、真冬は、部屋の中に氷が張ったらしい。




 自作小説『白麗シリーズ』には、荘家の屋敷の中で、白麗と英卓に仕える萬姜母子・允陶・堂鉄・徐平といった、いろんな立場の人物が登場する。


 長く書いていると、彼らに情が移る。


 彼らが使用人という立場であっても、昼も暗い馬小屋のような部屋とか、冬に氷が張るような部屋に住まわせることは出来ない。


 それで、こういうところも曖昧に書くしかない。







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