37 古代中国の庶民はどんな家に住んでいた? ≪2≫



 少し前のこととなるけれど、テレビの海外旅番組で、中国の豪商が住んでいたという家が紹介されたのを見た。

 何という人が所有していた屋敷か、それがどこにあるのかも忘れたが、それはそれは広大な敷地の中にある豪奢な建物だった。


 それほど古くはなかったように思う。

 古くても数百年前くらいの屋敷だ。


 美しく手入れされた庭を一望するたくさんの椅子とテーブルが並べられた部屋があって、中国独特の格子模様の窓枠とか、贅を凝らした調度品にはただただうっとりしてしまう。


 あの時代のあの屋敷に生まれて、あの部屋で優雅にお茶してみたい…。


 しかし、ナレーションの最後の言葉に、びっくり!

「当時の厳しい男尊女卑の考えから、家族といえども、この美しい部屋に女性が立ち入ることは禁じられていた」


 


 私は、家の中を見るというのが好きなので、観光地に行くと、入館料を払って昔の武家屋敷とか庄屋屋敷を見てまわる。


 どの屋敷のパンフレットでも共通の、広々とした座敷から見渡す美しい日本庭園の写真。


 やはりここでも思ってしまう。

 あの時代に生まれて、あのような部屋で大の字になって、昼寝してみたい…。


 でも、あの庭を一望できる広い座敷って、年に一度来るか来ないかのお殿様とかお代官様のための、専用の部屋なのだ。


 家族は使用不可だ。


 肝心の屋敷の持ち主である家族は、北側の日当たりの悪い狭い部屋で生活していた。どのくらい狭いか見てみたいのだけど、だいたいそういう部屋は事務所となっていて、観光客は立ち入り禁止になっている。(笑)




 昔の家は、住む者のプライバシーとか快適さを求めて建てられてはいない。

 間取りから見るだけではわからない、その時代の生活習慣というものがある。


 そういうことまで考え出すと、中華ファンタジー小説を書く手が止まってしまう。






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