36 古代中国の庶民はどんな家に住んでいた? ≪1≫
自作の『白麗シリーズ』の世界観、映画やテレビドラマのように具体的に目に見えるものではないので、曖昧に誤魔化して書いているところがいっぱいある。
衣装、食べもの、街並み、風景……。
それぞれに、固有名詞を知らない、調べるのが面倒という理由で、曖昧だ。
しかし、たぶん、読者は今までに見た華流時代劇ドラマの画像で、それなりのイメージを掴まれていると思う。
その中でただ一つ、確信犯的に曖昧なままにしているものがある。
それは住居だ。
『白麗シリーズ』の登場人物たちは椅子に座っていたり、床に正座してみたり。
寝る時も寝台であったり、部屋の中を片づけて布団を敷いてみたりと、その時の思いつきでいろいろだ。
どうしてそうなってしまったのか。
登場する荘家や沈家が金持ちであっても、所詮は庶民だからだ。
これが宮中だと、何十人という臣下が控える朝議の間も、何百人といる妃のいる宮殿が建ち並ぶ後宮の敷地も、千人の兵士が並ぶ広場も、どうにでもなるのだけれど。
いくら金持ちでも、荘家や沈家の家の中を、宮中と同じように描くわけにはいかない。
荘家はその稼業の関係で、配下のものたちが集まって話し合うとか賑やかに酒宴というシーンが多く出てくる。これを全員、椅子に座らせると、どのくらいの部屋の広さが必要となってくるのか。
こういう時は、床に直に座ってもらい、それでも溢れた者たちは庭に敷いた筵に座ってもらうことにしている。
そして、女中の萬姜さんの私生活シーン。
まさか、女中に寝台のある個室があてがわれている訳ではないだろう。
でも、萬姜さんと嬉児の母子を、他の使用人たちと雑魚寝させるわけにもいかず。
納戸を片づけた隅で、寝起きしてもらっているのだが、ここに寝台と椅子とテーブルを持ち込むのは、むつかしい。
華流時代劇ドラマの舞台は宮中であることが多くて、庶民の家や生活様式をリアルに再現したものは少ない。
あっても、庶民の家がそんなに広くはないだろうと、ツッコミを入れたくなるものが多い。たぶん、撮影しやすく作られているのだろうと思う。
それで、私は曖昧に書くしかないのだ。
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