33 宦官 ≪3≫



『史記』の講座の先生がよく言われていた。

「古代中国において、国を内側から亡ぼした元凶は2つ。外戚と宦官だ」と。


 外戚とは、皇帝の妃の親族。

 皇帝の寵妃の親兄弟が、政治に口を挟みだし、私腹を肥やし始めるのはよくあること。


 韓流や華流のテレビ時代劇ドラマでは、後宮の妃たちの嫉妬深く浅ましい争いを描いたものが多くある。

「ああ、女というものは、なんと度し難い生き物よ」と、見ているものは思ってしまうのだが、妃たちのそれぞれの後ろには、野心を秘めた男たちが控えているのだ。


 そのうちに、そういうことも含めた後宮の妃たちのことも考察してみたい。


 そして宦官。


 後宮で、あれほどべったりと皇帝や妃にくっついておれば、おのずと頼りにされるようになるだろうと思う。

 悪意を持って、皇帝や妃たちを操るということも可能だ。


 古代中国のどの時代のどの国にも、妃と宦官は政治に干渉してはならないという決まりはあったが、それを徹底させることは不可能に近いことだろう。





 前回、宦官の始まりは、他国の捕虜が奴隷となり男性性器を切除されて、後宮で働くようになったのが始まりではないだろうかと考察したのだが、奴隷商人が高く売れるということで宦官を作るようにもなり、また、働き口を得るために貧しいものが自ら宦官となるということもおきるようになった。


 そういう立場や身分のものたちが、皇帝の威を借りて政治に干渉し始める。

 代々の名家を背負っての大臣や、難しい登用試験を受けて役人になったものたちにとっては腹立たしいことこの上なかっただろうと想像する。


 後宮のお妃たちの権力争いも凄まじいが、宦官と官僚たちの権力争いも凄まじかったに違いない。





 最近の華流時代劇ドラマは、映像も衣装も演じる俳優も美しい。

 しかし内容は、CGを使った流麗な剣技と、恋愛ものばかりになってしまっている。


 男たちの知略の限りを尽くした権力闘争を扱った骨太なドラマを見てみたい。

 しかし内容によっては、体制批判ともなるので作るのは難しいのかなあ。

 



  

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