※ 2021年 ※

29 『史記』と今どきの大学生 ≪1≫



 三年半通った『史記』の講座がコロナのためになくなって、4か月。

 先生や聴講生だったの皆さん、どんな日々を過ごされているのかなあと、時々、思い出す。


 引きこもりの主婦の私には、1か月に1度、きちんとお化粧しておしゃれして公共の交通機関を利用しての、ハレの日のお出かけでもあったのに。


 講座のあと、お友達となった人と喫茶店でのお喋りも楽しみだった。


 それから行く途中で当たることで全国的にも有名な宝くじ販売店もあって、時々、そこで宝くじを買うのも楽しみだった。

 講座最後の日に買った宝くじは、まだ当たりを調べることなく財布の中に入れたまま……。




 このエッセイは数話前より、現地主義の先生が中国に調査に行った時に撮った写真を見て思ったことを書いているのだが、今回もその話を。


 ある時、先生は韓国の大学の教授と誘い合わせて、遺跡の発掘現場を見学に行かれたとのこと。

 その時、韓国の大学の先生はご自分の大学の学生の男女を何人か連れて来ていたのだけど……。


 写真で見ても、暑い季節だったこともあってか、その女学生たちの服装が全員、上はタンクトップで下は太もも丸見えのショートパンツだった。


「さすがに僕もこれはだめだと思って。怪我をすることもあるし、虫刺されや日焼けも怖い。長ズボンに着替えるように言いました」と、先生は言った。

 案の定、女の子の一人は体調不良となってホテルから出られなくなり、男の子の一人はふざけていて深く掘った遺跡の穴に落ちたそうだ。

 幸いにして、軽傷だったようだが。




 彼らが大学を卒業してもっと年齢を重ねた時。

 貴重な時間をなんてもったいない使い方をしたと思う時が来るのだろうか。


 日本の片田舎で、中国古代遺跡について話を聞いて写真を見て想像するしかないおばちゃんは、その時に思ったものです。






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