17 郭壁と城壁と城郭……?
中国の古代都市は、壁にぐるりと囲まれていた。華流時代劇映画やドラマをみると、そうなっている。それも、かなり高い壁だ。
映画やドラマでは、戦争の時に、その壁に梯子をかけて、兵士が登っているシーンをよく見る。十メートルくらいの高さはありそうだ。そして、壁の高さも高いが、幅もある。人が隊列をなして歩けそうな広さだ。
都市だけではなく、城を持たない街もまた数軒しかない村も、やはり壁で囲んでいたようだ。そして、都市も街も村もそれぞれに門番を立てた門を持ち、夜には固く閉ざされたようだ。
この有り様が、日本人の私にはなかなか想像できない。
江戸時代の時代劇を見ていると、長屋に入るには木戸番があって、そこを通して人は出入りしていて、夜になると閉じられていたようだが、江戸の町全体を壁で囲んではいない。
いったい、一つの都市全体を囲む壁というのは、どういう規模なのだろう。
そして、どのような形をしていたのだろう。
壁の中に人々の住む家屋敷が建ち並んでいたのだろうが、田畑まで壁の中にあったとは、まったく想像できない。
しかし、『史記』の中に一つの街が、数年の籠城に堪えたという記述があったりもする。すると、田畑もあり、家畜も十分に飼えていたのだろうか。
しかしながら、映画やドラマで見るように、壁の外はまったくの更地で、家の1軒もなく1本の木も生えていなくて、田畑もないということはあり得ないとは思う。
あれは、戦闘シーンを撮るためのセット上の都合ではないかと思う。
大きな都市や街では、壁の中に入りきらない人家も多く建ち並び、田畑があったのではないかと想像する。
また、食客三千人などを抱えていたり私兵を擁する豪族など、高い塀に囲まれた広い私有地を構えていたのではと、これまた想像する。
ほんとにまったく、想像できない古代中国の<壁>だ。
それで、郭壁・城壁・城郭という言葉の使い分けが出来ないまま、中華ファンタジー小説<真白い髪の少女>シリーズを書いている。
困ったことだ……。
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