15 国造りにも家にも、新しい血は必要だ!
講演会で最後に講師が聴衆に向かって「何か、ご質問は?」と問われると、必ず、私は手を挙げます。人の話を1時間も2時間も聴いて、「えっ、それは何?」って思わなことが1つもないなんて、ありえないと思いますので。
それに芽生えた疑問をそのままにして、その夜、安眠できるなんて、物書きを目指している人間には考えられないことだと思います。
また、講演の内容に沿っているようでちょっとずれている疑問を講師にぶつけると、その答えではなく答える<態度>に、講師の人間性が透けて見えて、面白いです。ただし、喋り慣れている人たちだけあって、私の真意を見抜いて、さすが年の功と感心したくなるような意地悪な答えで、満座で大恥をかかされることもあります。
その時は、この大恥が、私の書く小説を面白くしているんだと思うようにしています。
ということで、けっこうな授業料を払っている『史記』の講座でも、疑問が浮かぶとすぐに質問します。時間内に、絶対ここまでの講義を終えなければいけないという講座ではないというのもありますが。カルチャーの文化講座って、勉強というよりは、大人の高尚な趣味の時間という感じです。
そんな私の質問に答えた先生の言葉で、ものすごく印象に残っている答を紹介します。
秦の宰相として活躍した魏の人・張儀の時だったかな。
古代中国では、『食客、三千人』という言葉にあるように、国の内外を問わず、有能な人材を積極的に集めました。国の内からというのはわかりますが、敵国の優秀な人材も積極的に引き抜いて、自国の宰相に迎えるということも多くありました。
でもやはり「えっ、なんで?」と思いますよね。その実、スパイだったということもあったりで、すごいリスクもまたある思うのですよね。
それで、「そんな、リスクのある面倒なことを、なぜするの?」という、その時の講座の内容とはちょっとずれた質問を素直にしてみました。その時の先生の即答に、私、しびれました……。
「優れた為政者は、組織に常に新しい血を入れないと、国は滅びにむかうということを知っているから」
それから、ゆっくりと詳しく答えてくれました。
「しかしながら、王族や貴族の世襲制を壊すのは非常に難しく、内政で新しい血を入れるのはなかなかに難しい。それで、新しい血の人材は、外交と軍事に限られることにはなる」
私、ものすごく納得しました。
そして、家に帰って思ったのですよね。国造りにおいて、固定観念を打ち破る新しい血というものが必要ということは、それは、家の繁栄にも当てはまるのではないかと。我が家の家風に沿わないお嫁さんって、実は、その家の繁栄においてものすごく大切な新しい血なんですよ、絶対に!
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