ホットコーナー

あの、にます

第1話 元気

「ストライク!!バッターアウト!!」

俺の最後の夏は、終わった。


「いらっしゃいませー!ありがとうございましたー。」 (声デカっ!!客)


俺の名前は仁。長嶋仁。(なかしま じん)

あれから10年、俺は今「ホットコーナー」っていう定食屋で働いてる。


「おい!仁!焼肉定食を2番テーブル」

この迫力のある声、英二さんこと大川英二。ホットコーナーのボスであります。

(店主って事です。笑笑)

「了解でーす!」仁の声が店中に響きわたる。

「いらっしゃいませー!ツネさん。」

「焼肉定食。」ツネさんお決まりの注文が入る。

「また焼肉定食ですか?了解。焼肉定食、頂きましたー!」再び仁の声が店中に響きわたる。

「美味いんだよここの焼肉定食わ。しかし、相変わらず元気いいねー!仁は!」

「ありがとうございます!元気だけが、俺のとりえなんで!」毎度、お馴染みのやり取りをする二人を見て、ため息をつく英二であった。


そう、俺は小さい頃から野球ばっかりやってきた。野球ばっかり。

その野球で、大切な事を教えてもらった。

「元気」だ。

なーんだって思うだろうね。元気って、、、

でも、俺にとっちゃー物凄く大切な事。

俺の性格にぴったりなんだ。

その、大切な事を教えてくれたのが野球だった。

「何、ぶつぶつ言ってんだよ。デカイ声出しすぎで頭おかしくなっちまったか?!笑」

そうそう、このツネさんはうちの店にくる常連さん?!昼の12:30に必ず来る、野球好きなオッさんだ。

この店の英二さんとは昔、同じ高校で野球部のチームメイトだったらしい?!。

「英二さん、ツネさんと同じ高校で野球部のメンバーだったんですよね?」

それを聞いていたツネは、飲みかけていた水を口から吹いてしまった。

「仁!!その事は英二さんに言うなって言ったろ!バカ。」

「ツネッ〜!お前は〜!」

闇の奥深くから、聞こえてくるような声が店内に静かに流れた。

「すいません、なんて言うか酒を飲んでて、勢いと言うか。違う違う。飲んだ勢いとかじゃなくて...」ツネは、ボソボソと言いながら焼肉定食を食べはじめた。

やばい雰囲気を感じた仁は、立ちながら寝たフリをした。

「お前、それやめろって何回も言ってるよな。怒られたり、都合のわりぃー時に良くやるけど」仁の得意技は、英二にはもう通用しなかった。(するわけねーだろ笑笑)

「そう言えば今日、仁の誕生日だったろ?英二さん、今日店閉めたら三人で飯行きませんか?誕生日祝いに、仁に当時の野球部の話もしてあげましょ?!」

「ありがとうございます!是非、お願いします。」寝たフリをしていた仁が元気いっぱいにお礼を言った。

「うるせー!仁!仕事中だぞ!まぁーしょうがねーな、誕生日だしな。じゃあーいつものベンチで予約しておいてくれ。」

ベンチとは、当時の野球部のメンバーがやってる店の焼き鳥屋の名前である。

「了解っす。19:00に予約しておきますんで、よろしくお願いします。」

そう言って、ツネは焼肉定食を食べ終わり店をあとにした。

時刻は午後17:00。

「英二さん、じゃ俺もあがります。19:00にベンチでよろしくお願いします。」

「おっ。」

そう言って、仁も足早に店をあとにした。


この19:00からやる、ベンチでの仁の誕生日会で三人の運命が少しづつ動き始めていく。


第2話へ、つづく。



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