第96話 鬼を殺せる刀1
俺が〝
すっと立ち尽くし、
俺が【
「今度こそ俺を殺す奴が来たのかと思ったら、なんだぁ? その
鬼は俺の【鬼殺し】を
やはり鬼は、この【鬼殺し】では、鬼が斬れないことを知っているらしい。
「俺はお前を殺せるぞ?」
「面白い冗談だ」
鬼は牙の生えた口で改めて笑うと、腕を組んだ。
「それより、俺と取引しないか?」
「取引だと?」
答えつつも、目に【練磨】を使い【鬼殺し】を構える。
鬼が何を考えているのかなんて、まるで想像できなかった。会話で生まれた
そんな俺を見て、鬼はため息をついた。
「俺は人間を殺さないと約束するから、見逃してほしい」
意外な申し出だった。
だが、そんな言葉を簡単に信じられるほど、俺は素直でもない。
「おいおい、返事ぐらい返せよ? 無視すんのは失礼だって教わらなかったか?」
「……」
「
「……俺の名前を知っているのか」
「名前だけじゃない。俺様はずっとこの娘の中から外界を見てた。この娘が命を
その獣のような顔も、どこか優しそうに笑っている。
「鬼が、人間に同情するのかよ?」
「俺も元は人間だからな」
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