第94話 そっくり1
目的地である
すでに夏休みだということと、今が土曜日の、しかも夕暮れも迫った時刻だということが関係しているのかも知れない。俺は帰宅部だから詳しいことは知らないが、校門が閉まっているということは、部活動で残っている他の生徒はいないのだろう。
俺は自転車から降り、助走をつけると【
これぐらいのことは
学校の敷地内へ入ると、見慣れない光景が広がっていた。
所々に大怪我を負った大人が何人も倒れていて、そこに群がるようにして治療行為を行う人たちの姿があった。まるで震災や事故が起きた後のような慌ただしさで、時に
「よく、この場所が分かりましたね?」
振り返った先にいたのは、横腹を自らの血で真っ赤に染めた、まくらさんだった。
「大丈夫ですか!?」
俺の声に、まくらさんは力なく笑う。
「ご覧の有様で、大丈夫とは言い難いですね。……連絡が出来ずにすみません」
「そんなことより、何があったんですか?」
俺の問いに、まくらさんは目を伏せた。
「私たちは儀式の準備を行っていたのですが、その途中で、
まくらさんは苦しそうに咳を
「不幸中の幸いと言えばよいのか、鬼が目覚めるまでに
〝
あそこで、鬼が暴れているのだろう。
儀式を行うための条件である〝神域〟と〝人のいない場所〟の両方を〝学び様〟は満たしていた。さらに言えば、明日の日曜日ならば、校舎には人が寄り付かない。
まくらさんは、俺たちに嘘をついた訳ではなかった。
まくらさんは、俺たちに話していた通りの日付で儀式を行うつもりだったんだ。
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