第75話 刀オタク1
四人でダイニングキッチンに行くと、今日はまくらさんの姿が無かった。
ちなみに、まくらさんは
いつもなら「皆さんを待っていてお腹と背中がくっつきそうですよ」と
瑠衣もそれを不思議に思ったのか、俺に様子を見てくるように頼んできた。
「私たちで準備しておくから、お父さんを呼んできてくれない?」
「任せとけ」
俺は二つ返事で、まくらさんの元へ向かう。
まくらさんの
近づくにつれ、何か鉄を叩くような甲高い音が響いていることに気づく。
まくらさんが
「失礼します」
一応声をかけてから扉を開くと、最初に気になったのはその熱気だ。
夏場ということもあるけれど、刀を
そんな工房の中央にはまくらさん背中があり、何度も
「あと少しでひと段落しますので、少しお待ちください」
顔を向けずとも、まくらさんは俺のことに気づいたらしい。
回り込んでみると、まくらさんの手元には熱されて
真剣な表情で刀を打ち続けるまくらさんは、
まくらさんの開いた右目は少しだけ白く輝いており【
「私の右目は、刀を鍛えるためにしか使わないんですよ」
まくらさんは大きな金槌を片手で振り下ろしていて――そこにも恐らく【練磨】を使っているんだろうが、俺にも視えるほどに【練磨】を集中させている右目は別格だ。
「私は感覚を
「……世界一の無駄遣いですね」
「私もそう思います」
軽口を叩きつつも、俺はまくらさんの技術に惚れ惚れとしていた。
すでに刀身は完成目前といった様子で、鋭く力強い刀身が目の前で生まれていく様子は、素人目で見ていても面白かった。
「お待たせしてすみません」
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