第三章 一流の主人公って奴
第61話 カッコイイでしょ?
目が覚めると、木目調の天井が見えた。
小鳥のさえずりが
布団から手を伸ばしてスマホを開くと、まだ朝の六時だった。
緊張していたせいか、かなり早く起きてしまったらしい。
昨日の夜に話し合った後、俺はこの客間にそのまま泊めてもらったのだ。
俺は机の上にある【
俺は【鬼殺し】をポケットに入れ、顔を洗うために洗面台へと足を向けた。
昔から思っていたが、瑠衣の家は大きい。
廊下の突き当りを曲がった所で、洗面所に先客がいることに気づいた。
そいつはタオルで顔を拭き、背後にいる俺のことを
振り返った拍子に腰まで届く黒い長髪が広がって、俺の視線はその顔に吸い寄せられる。
「おはよう、
「し、東雲?」
ぽかんと見つめる俺に、東雲は眉を寄せた。
「何よ? 私の顔に何かついてる?」
「……角なら、生えてるな」
東雲の
「カッコイイでしょ?」
東雲はそう笑って、顔を拭いたタオルで鬼の角を拭いている。
おどけるその仕草に、俺は薄く息を吐いた。
「……元気そうで良かったよ」
「まぁね。これは私の望んだことで、後悔なんてしていないもの」
東雲の態度は昨日と変わらなくて、俺は少しというか、かなり
東雲はすでに、自分の死を受け入れているのだろう。
「朝食前に二人で話したいから、少し時間をもらえるかしら?」
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