第43話 明君、お茶をっ!!1
まくらさんの家は絵にかいたような日本家屋で、
母屋の一室に布団を
ややあって現れたまくらさんの手にはお盆があり、おかきや
「お待たせしました」
まくらさんはそれらを机に並べ、俺の真向かいに腰かける。
「ここ数日間、
まくらさんはそう言って、煎餅をばりばりと食べ始めた。
それを見て、俺もおかきに手を伸ばす。
悠長に構えている場合でもないが、考えをまとめる時間が欲しかったのかもしれない。
「……ばりばり。……ごくり。……ばりばり」
「……ばりばり。……ごくり。ばりばり」
慣れない二人きりの空間に、少し緊張していた。
「……これ、美味しいですね?」
俺が聞くと、まくらさんは助かったとばかりに笑った。
「もらい物なんですが、けっこう高いモノのようです。正直にいうと、私はお返しに気を使うために嬉しくなかったりするんですけどね。……ここにあっても余らせてしまうので、好きなだけ食べて行ってください」
「では遠慮なく頂きますね。ばりば――っ!? げほっがはっ!?」
「あ、明くん!? だ、大丈夫ですか!?」
おかきが、気管に入った。
「すみませっごほっ、げほっ!?」
空気が読めてなさすぎて悲しくなる。
「か、考え事をしていて気管に、その――げほっ!?」
「明君、お茶をっ!!」
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