第24話 『菅原はずきさん調査報告書』
『
そう題名つけられた報告書は、38ページにも及ぶ丁寧なモノだった。
はずきの人柄や父親との二人暮らしであった家族構成から始まるその報告書は、淡々と感情抜きで書かれており、その詳細や物的証拠が写真付きでまとめられていた。プロの探偵は凄いなぁと思う傍らで、事務的な言葉が読みやすくもあり、また嫌悪感を覚えた。
一言でまとめれば、彼女は綺麗すぎたのだ。
身を投げた彼女は、長期にわたり学校でいじめの被害にあっていたらしい。
理由は単に嫉妬であった。
美しかった彼女はいじめのグループから〝彼氏を寝取った〟などとあらぬ因縁をつけられていじめを続けられたらしい。
どこから手に入れたのか、いじめにあっていた証拠品である、落書きのされた教科書などの写真が何枚かまとめられていた。
しかし、報告書はまだ続く。
彼女の遺体には腰の当たりに
彼女は投身自殺の前に、何度か犯されていたらしい。
彼女には当時、付き合っていた男性はおらず、先述のいじめの原因となった彼とも直接的な関係は無い。いじめの延長として調査を続けていたが、彼女が他の男子学生や男と接触していたという目撃情報や証言は出なかった。
そこで探偵は方針を変更し、新たな容疑者へと行きついた。
彼女に最も近い男性である、父親の存在である。
すでに引っ越しを終えている隣部屋の住人の証言から、その容疑は確信に近づく。
彼女の部屋の隣の住人が、度々の言い争いを聞いていた。
そして、日が落ちた頃の時刻に、その類の音声――ベッドの軋む音と激しい吐息も合わせて聞いている。事を始めるにしては時間的に早いなと、何度か辟易したのだという。隣人がその音を聞いたリビングの隣は、彼女の部屋であった。
これは確証でないものの、彼女の死因を推察するための手がかりに成り得る情報だった。
調査内容をまとめると、以下のようになる。
彼女は登校時には校内でいじめられ続け、家庭内では性的暴力を受けていた可能性がある。
この劣悪な環境の
そんな言葉によって、報告書は締められていた。
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