第15話 幽霊が視える、理由3


 頭をかく俺に、東雲しののめが不可解そうな顔をする。


「これは親父から聞いた話なんだが、幽霊って本来は視えないだろ?」


「……私達には視えるけど?」


 東雲の言葉に、俺は首を横に振った。


「いや、それは東雲の思い込みだよ。この世には、数えきれないぐらいの幽霊っつーか魂が存在していて、俺たちが視える幽霊も確かに存在しているけれど、そんな俺たちにも視えない幽霊ってのが、この世界には存在してる」


「……そうなの?」


 東雲は目を丸くしたが、やがて納得するようにうなずく。


「その可能性は考えたことがなかったけれど、確かに言われてみればあり得る話ね。だって、私たち以外の人には視えていない幽霊を私たちは視ていて――そこに存在していると認識できるなら、逆もしかり。私たちに視えないからと言って、そこに存在していないとは言えないのね。まるで悪魔の証明だわ」


「話が早いな」


 俺が話を聞いた時は、それを理解するのに時間がかかった。


 まぁ、話を聞いた時の俺が小学生だったからって理由もあるけど。


「つまり、幽霊は俺たちに視えるタイプと視えないタイプに分かれるわけだ。そして、俺はその線引きに明確な理由があると思ってる」


「……幽霊が視える、理由?」


 思案顔だった東雲は、その答えに思い至り顔を上げる。


「視える幽霊というのは私たちに視て欲しくて、その存在をアピールしてるってこと?」


「正解だ。あいつらって、本当に分かりやすいよな」

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