第10話 毒キノコ的な距離の置き方1
〝
社自体は鳥の巣みたいな大きさでしかないけれど、その前には十メートル四方ほどの石畳が
その古めかしさから怪しげな雰囲気が
俺が急いで校舎裏の〝学び様〟に行くと、
「来るのが遅いと思ったら、そういうこと?」
東雲は立ち上がり、値踏みでもするように俺を見つめた。
東雲は腰まで届く長い黒髪を持つ女子だ。
切れ長の目は意志の強さを感じさせ、その立ち居振る舞いは自信に満ちている。東雲が立ち上がると、そのスタイルの良さに改めて感心させられた。東雲はクラスで一、二を争うほど顔面偏差値が高く、それに負けず劣らず成績も上位。ちなみに胸もデカい。
東雲の自信はその見た目や実力に裏付けされたモノで、東雲と対等に話す人物など、俺のクラスには
……瑠衣に後押しされて来てしまったが、俺なんかと東雲が釣り合うとは思えない。
東雲は仏頂面になり、改めて口を開く。
「ルイルイが私を騙したってことで良いのよね?」
〝ルイルイ〟とは、
つまり、俺を見た瞬間に、東雲は犯人を暴いたということである。
そもそも瑠衣が東雲を呼び出しているんだから、それ以外に犯人がいるはずないけど。
「悪いな」
俺の謝罪に、東雲は眉を寄せた。
「瑠衣は俺のことを想って東雲さんを呼び出してくれたんだ。……あまり瑠衣のことを悪く思わないでやってくれ」
「……」
東雲は顎に手を当てて少し考えると、
「ルイルイから、聞いてしまったのね」
東雲の整った顔立ちに、不覚にも惚れてしまいそうになりながら、俺はうなずく。
「つまり、私には幽霊が視えると、獅子堂君は知ってしまったのね」
……はい?
「そこまで知っているなら、白状するわ」
東雲は今、何と言った?
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