案内人
@pikorui0908
案内人 台本
異次元空間に迷い込んだ1人の少女、渚と、その空間に存在する謎めいた若い青年の外見の人物とのやりとり。
ーーーー以下、台本ーーーー
少女(渚)「なんなの、ここ…霧だらけで何も見えないし。さっきまで私、自分の部屋にいたよね?」
謎の青年?(謎)「やぁ、迷えるお嬢さん」
(渚)「だっ、誰?」
(謎)「はじめまして。私はラトロトゥーズ・ルギトと申します」
(渚)「ラ…トロ…ルギ…?」
(ラトゥー)「呼びにくいので、ラトゥーとお呼びください。さて、可愛いお嬢さん、貴女はここで何を探しているのですか?」
(渚)「探している?違うわ、私はただ自分の部屋で横になっていただけよ。気づいたらここにいたの。ねぇラトゥー、ここはどこなの?」
(ラトゥー)「ふむ。無意識下で迷い込んでしまったようですね。まぁ、よくある事です」
(渚)「ここはどこかって聞いたんだけど、私」
(ラトゥー)「そう答えを急ぐと、欲しい物は手に入りませんよ?
そうですね…貴女がたの世界の言葉で言うなら異世界、いや、異次元とでも申しましょうか」
(渚)「異次元…?」
(ラトゥー)「そう。そしてここには、“迷い”のある者だけがやってくる」
(渚)「迷い?」
(ラトゥー)「そうです」
(渚)「私が何を迷っているというの…?」
(ラトゥー)「自分に問いかけてごらんなさい。あなたの迷いも、そしてその答えも、既に貴女の胸の内にある」
(渚)「え…」
(ラトゥー)「貴女はもう、答えを知っているのですよ」
(渚)「なんのことかさっぱり…」
(ラトゥー)「私は貴女のような迷い人を導く者。でも大概ここに来る人々は、貴女のように答えを持ったまま迷い込んでしまうのです。
それが答えだと分かっているのに、実行できない。それは自信がないから。
怖がっているから」
(渚)「怖がって…あっ」
(ラトゥー)「思い出したようですね」
(渚)「私ね…とても大事な人を、裏切ってしまったの。勿論そんなつもりはなかったんだけど…。
大事な人だから、傷つけたくなかったのに…。
だから…どうしたらいいか分からなくて悩んではいたわ。あの人が知ったら、きっと嫌われてしまう。
…失いたくないのよ」
(ラトゥー)「人間の感情というものを、私は全て理解することは出来ませんが…
その事を相手の方が知った時、本当に貴女を嫌いになるでしょうか?」
(渚)「分からない。分からないから怖いのよ」
(ラトゥー)「誰しも秘密の一つや二つあるでしょう。
打ち明けて楽になりたいというのは貴女のエゴだという考え方も出来ます。相手がそれを望んでいるかなんて分かりませんしね。
…まぁ、どうしても打ち明ける必要があるのなら、怖がっていては先に進めないし、本当の意味での繋がりは得られないと思いますがね」
(渚)「…私はどうしたら」
(ラトゥー)「さぁ、そろそろお別れの時間ですね。出口はあちらです、急いで」
(渚)「えっ?ラトゥー待って、私まだ答えが」
(ラトゥー)「お嬢さん、言ったでしょう?答えは既に貴女の胸の内にある、と。
迷いを断ち切るのは信じる心ですよ。さぁ、お行きなさい。どうかお元気で」
間。
(渚)「次に気づいた時には、私は自分の部屋のベッドの上だった。あれは夢だったのかもしれない。
でも…私は…」
(ラトゥー)「(信じる道を、お行きなさい)」
ーーーーーーーーEND
案内人 @pikorui0908
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます