海辺のふるさと

@janzie

第1話

 朝8時、5000円だけ入った財布だけポケットに入れチャリにまたがる。

 高校に入って部活にも入らずバイトもせず。新しい友達もいないから退屈な夏休みになり二週間が過ぎた。スマホを触っていたら一日がすぎる。 このままじゃなにも得るものが無い夏休みになってしまう。だからとりあえずあまり行ったことが無い方向へ。



 完全に行ったことが無い道に入った。

 地元なのにこんな50分程で知らない場所があるなんて。 チェーン店が並ぶ四車線をチャリで走る。



 3時間くらいは走ったが単純計算をすればまだまだ余裕を持って帰れる時間だ。気づけばもう二車線。何だか潮の香りがする。そんな訳はない。匂いを辿って漕ぐ。そこには真っ青な海がある。

 たしか俺は栃木の片田舎出身だ。チャリで3時間の場所に海はあったのか。なさそう。調べようにも携帯は家に置いてきた。たとえスマホ中毒を治そうとしててでも持って来た方がいいに決まってる。

 でも目の前には海がある。大量のテトラポットがある。フジツボがある。

 一回落ち着くためにも水分を補給するためにも自販機でジュースを買う。地元の自販機より20円くらい安い。



 いくら海はなさそうでもしっかり見えてるからあるんだと思う。もうしばらく漕いでみよう。

 中学校が近いのか歩道には中学生が多い。

 よく見るとその中にケンカして微妙な関係性になってしまった同級生に似ている奴がいた。その横は部活の先輩、もうちょい後ろには家が近い後輩に似ている。

 ざっと見た感じ中学生達はどっかで見たことあるような無いような奴ばっかりだ。名札を確認すると名前は全然違っていたので安心した。



 てことは自分に似たのもいるかもしれない。いた。目が合った。めっちゃウケてる。そういえば中学生の俺は明るかった。 喋りかけられる。

「似てね(笑)」

「確かに」




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

海辺のふるさと @janzie

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ