エピローグ

 町外れの墓地。私は手作りのクッキーと、白い百合の花を持ってそこを訪れていた。

 明莉に供えるためだ。

「あら、岩崎さん。来てたの」

 背後から、玲奈の声が聞こえた。

「……高坂さん。今日は、お盆だから」

「そう。そのクッキー、自分で作ったの?」

「うん。昔から、料理は得意で、よく明莉にもあげてたから」

「そっか。……いい幼馴染を持ったわね」

 彼女は、そっと明莉の墓石に向けて話しかける。

「ねえ、高坂さん。明莉の話、もっと聞かせてもらえないかな。私も話すから」

「いいわよ。でも、まずはここの掃除をしてから。ほら手伝ってよ、

「わかったよ、

 青い夏空の下、二人分の笑い声が、静かに響く。その時吹いた、柔らかな一陣の風は、何だか明莉からの祝福のように思えてならなかった。

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幽霊少女の青春奇譚 青井音子 @cl_tone

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