私の原液。(高校三年時、そのいち)

(高校三年生の、4月から6月。ここらへんになってくると、もうほぼ現在の雰囲気です。)



・いつも通りに過ごそう。私は何より一番、私を疎かにしちゃだめだ。


・念願のルノワール展。じっくり見てくる。

・ルノワールの絵。感情があらわになる一歩手前の、何かを孕んだ表情が好きだ。


・ものごとには色んな面がある。そのひとつの面だけを見て決めつけるのは、はっきり言って馬鹿らしいことだ。


・すっきり目覚めた。こういう日って、何だか優しくなれそうな気がする。


・辛さというのはどこまでもその人のものであって、比較出来るものではない。


・気持ちを言葉にするのは簡単なことではないけれども、それを為すための努力を諦めたら本当に何も語れなくなると思う。精一杯に、気持ちを語りたい。


・美しいものは、美しいから美しい。そこに「美しさ」の本質があるのではないかと思う。


・もっともっと頑張ろう。


・私が哲学をやりたいのは、自分が考えていることをとことん突き詰めたいからではないかと思った。もちろん、人の考えを知りたいというのもあるけれども。まだまだ知りたいことは沢山ある。どこまでも考えられると思う。


・空がきれいだ。あの人もあの人もあの人もみんな、この空を見ているのかなと思う。すると何だか幸せな気もちになれる。そんな空だ。


・傲慢にならず、慎重にやっていきたい。自分で自分をちゃんと評価できるよう。


・自分で自分を規定してしまいたくない。


・三日月が、とてもきれいだった。


・好みの問題、と言うけれども、この、好み、はとても素晴らしいものだと思う。そうとしか出来ない個性。見事なまでの多様性。その偶然性と必然性。何故好みというのは、かくなるものなのか。これが好きで仕方ないという、そういうものなのだろうか。素敵だ。


・ああ、音楽をやりたい。


・言葉では、何でも言えるんだ。じゃあそこで何を信じることが出来るのかっていうと、きっと言葉の、その重み。


・中学生であるっていうのはそれだけで、泣きたくなるような体験なのかもしれないと思った。学校いってきます。


・好きなものは、選ぶのではない。好きだから、好きなんだ。


・太陽と、目があった気がした。


・本を読みたい。一心不乱に読み耽りたい。彼らの世界に浸りたい。

・すくなくともページをめくっているうちは、私は私のものでない現実に行く。逃げたいのではない、知りたいんだ、感じたいんだ。


・私が動かなければ、私の世界は何も変わらない。


・後悔しないようには生きたいけれど、後悔しないために生きてるのではない。


・どうしようもなくいとしくなって、どうしようもなくなるときが、確かにあるんだ。いったい何がいとしいのかわからないけれど、いとしいんだ。


・私は今17歳で、でも17歳というところに私のアイデンティティがあるのではなくて、でも私は絶対的に17歳で、17歳の私が確かにいる。夏には、18歳になります。


・皆が皆、自分のことをはぐれ者だと感じているのではないだろうか。


・放課後の掃除の時間、教室の窓から、スカイツリーが見えることに気がついた。それもくっきりと。窓わくに手を置いて、見つめながら思った。東京じゅうの人が、あの塔のもとにいる。


・ラヴェルの音楽は、「きれい」の純度が高い。混じりけのない、「きれい」。水晶みたいなイメージがある。


・過去というのは、何度も何度も反芻するものだと思う。そのたびに解釈も、意味も、輝きかたも変わってくる。過去は、現在によってその色あいを変える。変えることができる。


・私の書くものは、閉塞していることが多い。どうしようもない、どうしようもできない世界が好きなんだと思う。でもそれは、私がそこから既に抜け出したから描けることであって。


・「亡き王女のためのパヴァーヌ」、いとしくて、せつなすぎる。やっぱりラヴェルのつくる音楽は、きれいだ。どうしようもなく。

・うつくしいものが存在するということ、そのこと自体がもうとってもすごいことで、人間のなかからそれがうまれるというのは、ほんとにほんとにすごいことだ。

・いや、人間のなかから「うまれる」のかどうか、それはわからない。もしかしたら、もともと在るべきものを「見つけた」だけかも。それにしたって。それにしたって、人間は、うつくしいものをうつくしいと思うことが出来る。


・スカイツリーが、バベルの塔に見えた。現代の、バベルの塔。空に浮かぶ雲、天使のはしご。神さまは、もう罰を下さないのだろうか。


・雲の波を見た。


・たまには沈黙を聴く。


・大人になる、ということは、どうしてかくも感傷を伴うのだろう。


・一生懸命な人を、嘲笑うことなどしたくない。一生懸命な人には触発されたい。


・「中学」ということを想うと、いつも微かな倦怠を覚える。


・良い音楽って、水みたいだ。ほんとうに。水を欲するみたいに音楽を欲する。

・飲んでも飲んでもまだ喉が渇く音楽は、きっとほんとうに良い音楽なんだと思う。


・しかしやはりラヴェルは、静かに、染み込ませるように聴くのが良い。


・水たまりのなかに、太陽がうつり込んでいる。


・さがしていた青、見つけた。スカイブルーという名の青。


・現代文の授業で、「樹木への信頼感」というものをやった。樹木は、いつでも「そこにある」と信じることの出来るものだと。そしてその著者は、「人間もそうなのだ」ととれるようなことを書いていた。わかる。その絶対的、絶対的としか言いようのない信頼感、せつないほどに、絶望的なほどにわかる。


・ああ、なんか、この雰囲気。青春だなぁ、甘酸っぱいなぁ、でも、今からせつないような。青春だなぁ。


・私はほんとうに、ぐみ、に心惹かれる。


・観念的な人のこなす、日常の色いろが好きだ。


・人を騙すことに、価値など無いと思う。


・眠りはまるで、階段を下りるようだ。何故だか、ゆめにっきのセマダ先生への道を思い出す。あれが、眠り、なのではないだろうか。


・すべてのことを肯定するのは、何も肯定しないのと一緒だと思う。


・まだほんとに小さい子どものころは、大人というのは途方もない存在に感じた。そんな時代が自分にくることなんて信じられなかったし、自分はいつまでも小さいような錯覚がしていた。はたちまで、あと二年とすこし。大人、も迷うのだと、迷っても良いのだと当然なのだと、知った。

・というよりか寧ろ、大人、という人種は存在しないことをはっきりと知った。大人は大人である前にひとりの人だ。子供が子供である前に、ひとりの人であるように。


・「理屈詰めで、論理的にものごとを考えるよね」と言われたことがあるけれど、直感と直観に基づく場合も結構多い。


・中学のころは、あの季節が私の根本になるなんて、思ってもいなかった。

・でもきっと後で思い返せば、この季節だって私の根本に大きく影響していることに気がつくのだろう。今はもちろん、実感ないけれど。


・荒川の水のいろが、深い。


・至極当然のことだけれども、ものごとには多面性がある。一面だけ見て決めつけるのは、良くない。


・判断を、他のものに委ねたくないと痛切に思った。

・判断を他のものに委ねるのは、とても危険なことのように思える。


・電車に乗っている。夜風が涼しい。うまく言えないのだけれど、夜の電車にはある種の希望がある。


・ぜったい、負けない。負けるもんか。私が負けだと認めたときしか、私が負けるのは有り得ない。だから私は、ぜったい負けない。

・負けるというのは多分、自分を信じられなくなるときだ。

・自分を信じなくて、どうする。

・私はうち勝つ。


・まあでもやっぱり、負けるわけにいかないよねっていう。これしかない。やるしかない。


・ひとつ、つよくつよく思ったことは、集団ではどんな理不尽なことも怒り得るということです。そしてもうひとつ、「信用」の問題があるということ。

・言葉と行動を、一致させなければ。言うだけならば、簡単なんだ。

・捨てるとか、投げるとか、それはほんとにほんとに最後の選択であって、たやすく考えちゃあ、駄目なんだ。

・そもそも、何をもって「捨てる」「投げる」とするかなんだよなぁ。自己防衛は必要だろうし。かといって、言い訳は良くないし、でも自分だって大事だし。


・正直言って、嫌なことあると、驚くほど冴えわたって、すらすらと書けるもの。平和な状況だと、幸せだけれど、色いろ鈍るのも確か。

・高校に入ったばかりのころは、とかく「平和ぼけ」をおそれていた気がする。それは、つまり、こういうことなのか。


・無理解は、必然。臆せずに立ち向かいたい。


・何かを好きであるということは、何かを好きでないということだ。至極当たり前のことだけれども。


・中学時代、言ってしまえば、最低で最悪の季節。でもどうしようもなく、いとおしい季節。


・勢いがあるのと雑であるのは、違う。当たり前のことだけれども。


・何回か書いている通り、私は今中学一年生たちのお話を書いているわけですが、中一って外見的にはあんなにちまいのね、と中等部のフロアを通るたび思う。しかしきっと彼女らも、あどけない外見とどこまでもつよい自意識とある種のグロテスクさをもちあわせているのだろう。

・しかしほんとうに、中学生の(あくまでも外見的そして表面的な)幼さには、毎日はっとしている気がする。だってあの季節、私はああだったのだ。きっと傍目には、そう見えていたのだ。あんなにあんなに、あんなようなことを考えていたのに。


・14歳のときに三並夏を読んで「私も15歳になったら、きっと!」と思い、同じくらいのときに綿矢りさを読んで「17歳のときには、もっと!」と思い。私、もうすぐ18歳だよ。でもぜんぜん、焦ってないよ。ある程度、成し遂げることが出来たと思う。もちろん、本領発揮はこれからだけれどね!


・ガラスごしに外が見えるのだけれど、雨がびしゃびしゃ降っている。濡れて帰らなきゃじゃん、と思いつつも、何だかわくわくしてしまう。夏の雨。


・夕だちが止むと、ほんのすこしだけ寂しい。でもほんのすこしだけ安心して、どこか爽やかな気もちになる。お祭りのあとの気もちに似ている。私のなかで、夕だちはきっとひとつのお祭りなんだ。


・6月が、もうすぐ終わる。6月。凄まじい月だった。



(7月~9月のをまとめて、いったんの区切りとしようと思います。)

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