『あとがきとして、海の底から』(部誌のあとがき。)
(文芸部の部誌に載せた、あとがき。)
(そのままそっくり、もってきています。)
(部誌にあとがきを書くことになって、じゃんけんで負けて、「はいっ、部長から書いてください」って言われて、パソコンの前に座り後輩たちの会話をなんとなく聞きながら、かなりの時間をかけて懸命にさがし出した文章。)
(あとがきを書いたのは、はじめてだったかもしれない。)
(あとがきを書いているときの、私と後輩たち。部室にて。
私「ねえ……まじで私からなの? だれか書けば?」
後輩「いや部長からでしょ」
後輩「ここは先輩から書いてもらわないと、ねえ?」
後輩「そうですよ。なつき先輩じゃないと」
私「……じゃあ、帰ってからゆっくり書いちゃだめ?」
後輩「だめです。この場で書いてください。この場で書くからたのしいんじゃないですか」
私「……まじでー? えー、じゃあ頑張るけどさぁ……」
後輩「大丈夫ですよ先輩神だから」
後輩「そうそう。神ですから」)
(そして、頑張りました私は。)
(そうしたら案外と、言いたいことが言えた。)
『あとがきとして、海の底から』
話したいことは小説で話してしまうので(またそうあるべきだとも思っているので)、なにを書けば良いのかけっこう途方にくれています。
海の底の話でもします。
私はスキューバダイビングの資格をもっていて、あるとき、浅い海の底に潜ったことがありました。
まっ白な砂漠と横たわる大木、空へと向かってゆく泡、そして自分の呼吸する規則正しい音だけが、そこにあった気がします。水のゆらめきと光と共に。じっさいにはもちろん他の人たちだっていましたし、それにもしかしたら海草や魚だっていたのかも知れません。
でも私の記憶に残った海の底というのは、こういうものでした。しずかで、誰もいなくて、限りなくかなしい。どこまでもシンプルで、それなのに精緻で複雑な。
私はきっと今までここにいたのだと、そしてたぶんこれからもここにいるのだろうと思いました。
私は、海の底のような文章を書きたいと思っています。海の底から文章を書きたいと思っています。どこまでもしずかな海の底から、声を限りに叫びたいと思っています。しずけさのなかの熱量を大事にしたい。冷たくて気もち良く流れる水のなかにある、確かな熱量。
そうしていつか、届けば良いのかなと思います。
私は三年生なので、今日をもって引退となります。とにかく書いて書きつづけていたら、ここまでやってきてしまいました。来れて良かったと思います。
文芸部には感謝をしたいです。なんだかんだで、楽しかった。ありがとう。
これからも私は書いてゆきます。おそらくは、ずっと。そしてきっと、文芸部のあった日々は、消えることがないのだと思います。
最終的に、こう言えて良かったです。
最後になりますが、読んでくださってありがとうございました。
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