僕等がいた。

この日記は、漫画「僕等がいた」を知っている人向けです。





山本有里の評判は悪いみたいですね。インターネットには、中傷めいたことまで書かれていました。

対して高橋七美の評判はとても良い。矢野と七美が一緒に幸せになることを望んでいる、という意見が多かったです。

私は山本さんが好きです。大好きで仕方ないです。山本さんがいなかったら、おそらく「僕等がいた」を私は読まないだろうというくらいに。

矢野は山本さんにとって、付き合ってはいけない相手だった。詳しくは描かれませんが、結構根深いコンプレックスもあったと思います。だから言えなかった。太陽のもとで気持ちをまっすぐ伝えられなかった。その愛は歪んでいる、という意見もあったのですが、それはきっと彼女も気がついていて、だからこそ気持ちを抑えてきたのではないでしょうか。そしてますます歪んでいく。突発的な行動に出てしまう。

山本さんは確かに、いくつかのやってはいけないことをしてしまいました。結構な傷を、他人に残していった。それは二度とやってはいけないことだし、簡単に正当化しちゃだめだなことだとも思います。でも山本さん自身だって、幸せそうな彼らによって傷つかなかったわけがない。その傷は無視されて、山本さんは責められる。

彼女は不器用で、ひねくれていています。でもその裏にある気持ちというか、そういうものは、多分七美に負けないくらい純粋な気がします。山本さんを見ているとなんだかせつなくて、ほんとうに幸せになってほしいと思います。


対して私は七美があんまり好きではありません。かなり控えめに言って。個人的な理由になってしまうのですが、幸せだとか好きだとか、そういうものを口にして、自分の感情に振り回されて、他人の優しさに泣いて、自分を正当化して、そういう人は私とは合わないみたいです。……でもこういう人こそ好かれるらしい。




ここからは、ものすごく個人的な話になってしまいます。

もう一年前になりますが、私は短編小説を書きました。ひとりの男の子を、ふたりの女の子が愛してしまう話です。みどりという女の子がいて、彼女はなんというかほんとうに歪んでいて、愛しかたを間違えて、結局は破滅してゆく。対してもうひとり、美咲という女の子がいて、この子は最終的に愛される。(そこまでは小説に書きませんでしたが、多分。)この子も、自分を正当化する人です。みどりは山本さんに似ているところがあって、美咲は七美に似ているところがある。

私は個人的にこの美咲ちゃんがもうほんとうに大嫌いで、書いているときもあとで読み返しても、絶対に友達になりたくないというか知り合いたくもないと思います。私はみどりとなら友達になれる。

でもやっぱり、愛されるのは美咲みたいな人なんだよなあ、というのもわかります。明るくて、気配りができて、ものごとを正当化して涙する人。自分が正しいと思っている人。なんだか世知がらいです。

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