群馬について

私は群馬県出身です。群馬県。影が薄い県ナンバーワンに選ばれたらしいです^^^^^

群馬から来たんだー、というと、皆の返事はこんな感じ。

「聞いたことあるけれど、どこそれ」(*関東です)

「東北?」(*関東です)

「ぐんまって……ああ、ぐんま?」(ぐんまです)

「こんにゃく?」(下仁田こんにゃくのことですねわかります)

「ああ……」(うん……)

話を膨らませにくい県だと私でも思います。だって目立つもの何もないもの。


そんな群馬県の洗脳教育を紹介したいと思います。

上毛かるた、をご存知でしょうか。知っていたら凄いと思います。

この上毛かるたなるものは、すべての札が群馬に関するものなんです。

「あ」だったら、「あさまのいたずら鬼の押し出し」、

「い」だったら、「伊香保温泉日本の名湯」、

「う」だったら、「碓氷峠の関所跡」、

こんな具合に。今でも「あ」から「わ」までまるまる札と絵柄を暗記している自分がある意味で凄いと思います。でもこれってそんなに珍しくないんです。群馬の子ってみんなこうなんです。

群馬の小中学生は、百人一首をやりません。上毛かるたをやります。子供たちは町内会ごとに、二月だか三月だかにある上毛かるたの県大会(!)を目指して、冬の間日々練習を重ねます。私の場合は週に三回、一時間半くらい練習していました。絵札に書いてあるひらがなを消して絵札を覚える練習をしたり、相手から札を奪う練習をしたり、それはもう練習に練習の日々でした。爪を立てたり立てられたりは当たり前なので、爪は短く切ってくるよう厳しく言われていました。

それをなんだかんだで四年間繰り返しました。……ああ、それは、すべての札をおぼえるわけだ。

自分で言うのもなんですが、私は結構これがつよかったです。町内会では多分一二を争う実力でした。だいたい校内大会では決勝まで進むのですが、そこで負けてしまうんですよね……もうほんとうに、彼らの手さばきは凄いです。「あさまのいたずら鬼の押し出し」の「あ」の時点で札とられます。市の大会くらいは出てみたかったと、すこし思います。

何はともあれ、かくして私は群馬についてやたら詳しくなりました。内村鑑三が群馬出身とか、伊勢崎市は織物が凄いとか。日常生活で役にたったことはあんまりないです。

でもまあ、私はこの愉快な洗脳教育が結構気に入っています。楽しいんですよ、上毛かるたって。ルールが独特で、結構白熱します。それになんだかんだで故郷についての知識を得られたのは嬉しいです。


目立つものはないですが、まずまずの県だとは思います。私の住んでいた地方都市は、適度に田舎で適度に都会でした。自転車を飛ばせば一応大きな本屋はあるし、歩いて山のぼりもできました。田舎にいきたくて、でも都会の便利さも手放したくない人には、もしかしたらいいかもしれません。



ところで未だに訛っていると言われることがあります。標準語に似ているからか、群馬の言葉は根深い……。

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