真夏の結晶

綿貫 なのは

第1話 まりさん

こぽん、こぽ、こぽん。冷えた硝子と氷がぶつかり合って、思わずうっとりと目を瞑る。まぁなんて、素敵なのでしょう。きっと、この音こそがこの世界のささやきであるような優しいけど、固い。冷たい。歯がゆい。


坂本茉莉は、毎日あの音を聞くべく喫茶店に通っている。あの音に、気持ちに恋して依存した。宙に浮いて、ふわふわする心を抑えられなかった。


また、いつものようにお気に入りの服や靴を右側から履く。それが終わると、大きな伸びをする。素敵なことが起こる気がする。だから、私は行くの…


喫茶店bonheur ボヌールへ。

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真夏の結晶 綿貫 なのは @airi-023

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