夢か現か
白銀 蓮(しろがね れん)
夢か現か
微睡んだとき、僕は久々に仕事をしていた。
沢山の音の鳴る機械に囲まれて、工具片手にふらふらと歩き回っては機械をいじる。上手では決してなかったけど、でもやっぱり好きだったと楽しくて微笑む。そして微笑んだところで疑問に思う。
あれ、僕は。今は。
「 」
聞こえてこない言葉を聞いて、僕は嬉しくて微笑む。僕は君の言葉が好きだった。君の言葉が嬉しかった。
場面が移り変わっていく。変わっていく背景、君の服装、そして塗りつぶされていく君の顔。
「 」
遠ざかっていく君が何かを言う。待ってくれればいいのに。何て言ったか聞こえないのに。キンキンと耳鳴りがして、キリキリと胸が締まる。耳を澄ませても耳鳴りが酷くて聞こえてこない。口を開こうにも声がでない。待って、待って。君は何て言ったの。
微睡んでいた僕は、ふ、と目を覚ます。頬を伝う雫を乱暴に袖で拭って、ふうと息を吐く。ぼんやりと部屋を見渡しても何もない部屋。これは夢か現か。そもそも君は僕の隣にいたのだろうか。
ははは、と乾いた笑みが部屋に響いた。
夢か現か 白銀 蓮(しろがね れん) @SiRoGaNeReN_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます