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「アリッサム……ごめん……」


「いや、もう……いいんだ。ジョンソン先生はもうここにはいないんだから。ごめん、ロータス、ボクはもう一つ確かめたいことがあるから」


「……アリッサム?」


 ボクは涙を拭い一人で職員室へ向かった。


 職員室のドアをノックすると、ブラウン先生が出て来た。


「アダムスミスさん、どうしたの? 出願書類の不備でも?」


「出願書類は大丈夫です。ブラウン先生、大切な話があるので、少しだけ時間をくれませんか?」


「大切な話? いいけど、手短にお願いできるかしら?」


「はい」


 ブラウン先生はボクの要求に応えてくれた。ボクは廊下でブラウン先生に話しかける。


「ブラウン先生、ジョンソン先生との結婚は正式に決まりましたか?」


「ぶっ……。い、いきなりなに? わ、私がジョンソン先生と結婚するわけないでしょう? 付き合ってもないのよ? アダムスミスさん、どうしたの? もしかしてジョンソン先生のファンだったの?」


 ブラウン先生がクスクスと笑った。


「ジョンソン先生は元担任だから。ブラウン先生とジョンソン先生が結婚するならお祝いしたいなって思ってたんだ。ほら、アパートの前で二人で車に乗ってたし」


「あー……あれね。あれは送別会のあとにアパートまで送っただけ。私はフラれたのよ。ジョンソン先生は傍にいてくれる人じゃないとダメなんだって、遠距離交際はできないって振られたのよ。あら、こんな話、生徒にするなんて私もどうかしてるわね。今の話は他の人には秘密よ。忘れて」


 ブラウン先生は笑みを浮かべて、ボクの肩をポンと叩いた。


「そうですか……。ブラウン先生ほどの美人を振るなんて、ジョンソン先生はどうかしてますね」


「クスッ、その言葉結構傷付くんだけど。そんなことよりも大学入試頑張ってね。出願書類でわからないことがあればいつでも聞いてね」


「はい、ブラウン先生ありがとうございました」


「アダムスミスさん、大切な話ってそれだけ?」


「はい。ブラウン先生がジョンソン先生と交際していないのなら、問題は解決しました」


「……問題は解決?」


 首を傾げてるブラウン先生に会釈して、ボクは教室に戻った。

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