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「本当になんでもないよ。ジョンソン先生のことは何もしらない」
ジョーンズ君はボクから視線をそらした。その様子に、彼が嘘をついていると直感した。
「あともう少しで卒業だね。ロータスの夢って何? ボクの夢はね、好きな人の傍にいることなんだ」
そこまでいうと、涙が溢れた。
「アリッサム、泣くなよ」
「ボクは……」
ジョーンズ君はボクの頭をクシャッと撫でた。
その途端、
静かな図書室で号泣しているボクに、みんなの視線が一斉に集まる。ジョーンズ君は困り顔で周囲の視線を気にしていた。
「ロータス、お願い。ちゃんと説明して。本当のことを話して」
ジョーンズ君は声を落とし、小声でボクに話した。
「アリッサム……。俺、見たんだ。二人がアダムスミス公爵邸の庭でキスしてるところを見たんだ。ジョンソン先生に学校を辞めないとアリッサムとのことを学校に暴露すると言ったんだ。本当に暴露するつもりなんてなかった。ただ……アリッサムと別れて欲しかった……」
「……そんな」
「アリッサムがそんなにジョンソン先生のことが好きだったなんて思わなかったから。ごめん、ずっと……ずっと……苦しかったんだ。ジョンソン先生が退職したあとも、アリッサムの沈んだ顔を見ていることが、ずっと苦しかった……」
ボクは両手で顔を覆い、再び号泣した。
――アスター……。
ボク達のことがジョーンズ君に知られてしまったから、一人で責任とったの?
それは……ボクを守るため?
……嘘だよね?
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