微熱 13

アリッサムside

93

 高校最後のテストを終え、手応えは十分あった。ただボクは自分の進路にまだ迷っていた。


 翌日、学校の図書室に行くとジョーンズ君も登校していて、ボクに話し掛けてきた。


「アリッサム、試験どうだった?」


「うん、バッチリだよ」


「じゃあ、成績証明書もバッチリだな。一年の時から、成績は常にトップだし、王立大学は余裕だね?」


「それなんだけど、迷ってるんだ」


「何を……?」


「実はね、バレット王国の王立大学に出願しようかなって」


 ジョーンズ君が驚いて目を見開いた。


「どうしてバレット王国なんだよ。アリッサムなら、スーザン大学合格間違いなだろう。まさか……」


「一緒にいたい人と、同じ国で学びたいんだ」


「アリッサム……。俺はどうなるんだよ」


「ロータスはボクにとって大切な友達だよ。今もこれから先もずっと友達だから」


「……アリッサム」


 ジョーンズ君が驚いたようにボクを見つめた。


「そんなに、ジョンソン先生が好きなのか?」


「えっ?」


 アスターのことを……どうしてジョーンズ君が……?


「俺、アリッサムとジョンソン先生のことなら知ってるよ。アリッサムがジョンソン先生に特別な感情を抱いていたってこと。でもそれは、女子が若い男性教師に憧れるのと同じだよね」


「アスターはボクの初恋なんだ。片想いだけどね。でも、それとバレット王国の王立大学は違うから一緒にしないで」


 アスターに迷惑がかかることを恐れ、思わず嘘をつく。


「アリッサムは、どんなことをしてもジョンソン先生の所へ行くんだな」


「どんなことをしても? 一体、何のこと?」


「………っ」


 ジョーンズ君は慌てて目を逸らした。


「ロータス、ボクに何か隠してる?」


「何も隠してないよ」


「嘘だ。ロータス、何か隠してるんでしょう。まさか、ジョンソン先生が退職したことと何か関係があるのか!」


 ジョーンズ君が挙動不審となり、眉をしかめ口を尖らせた。

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