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封筒を開くと、『アリッサムへ』という文字が目に入った。
――――――――――――
アリッサムへ
アリッサム、今までありがとう。
アリッサムと暮らした数ヶ月はとても楽しかったよ。
アリッサムに再会出来たことは、俺にとって幸せな時間だった。
アリッサムには、明るい未来が待っている。
いつの日か、アリッサムが教師として教壇に立つ日が来ることを、俺は楽しみにしている。
俺のことは忘れて、アリッサムは輝ける人生を歩んで欲しい。
アスター
――――――――――――
ボクの人生……?
俺のことは忘れて……?
なに言ってるんだよ?
ボクの夢は……
ボクの未来は……
アスターと一緒に歩むこと。
教師のくせに、ボクの気持ちがわからないの?
――どうして……
どうして…………。
勝手に一人で行ってしまうんだよ。
ボクにさよならも言わず、ボクに嘘までついて、今さらこんな手紙を残して、『いつの日か、アリッサムが教師として教壇に立つ日が来ることを、俺は楽しみにしている』なんて、勝手なことを言わないでよ。
手紙を握り締め、涙がポロポロ溢れた。
「アリッサム、メソメソしていてもアスターは戻ってはこない。アスターはお前の幸せを第一に考えて、アリッサムの前から消えたんだ。その気持ちもわかってやれ」
お兄様に……何がわかるというの?
ボクの何がわかるというの?
ボクは手紙を握り締め、自分の部屋に入った。
ドアを閉め、天井を見上げた。
アスターの噓が見抜けなかった自分が情けなくて。
アスターに子供扱いされたことが悔しくて。
それでも……
アスターを嫌いになることは出来なかった。
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