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「ジョンソン先生どうかしましたか?」
隣席に座る英語教師のジャスミン・ブラウン先生が声をかけてくれた。ロングヘアをひとつに束ね黒縁眼鏡。グレーの地味なスーツを着用しているが、よく見ると顔立ちもスタイルも抜群。はち切れそうなバストと口元の黒子がやけにセクシーだ。
「いえ、何でもないです。スペシャリストの担任が続くので、正直大変だなって。前の学校でやっと終わったと思ったのに……」
前の学校は荒くれ者ばかりいて、大学受験も就職も苦労したんだ。
「そうですよね。私もスペシャリストの担任なんですよ。もしわからないことがあれば何でも相談に乗ります。お互い協力して頑張りましょう。宜しくお願いします」
ブラウン先生は優しい笑顔を俺に向けた。
ブラウン先生はきっと男子生徒にモテモテなんだろうな。思春期の学生は、美人教師には弱い。
ていうか、アリッサムも惚れるならブラウン先生にしろ。
「ジョンソン先生、私の顔に何かついてますか?」
「いえ、ブラウン先生があまりにも美人だから、男子生徒にモテるんだろうなぁって思っただけです」
「やだ、それ過剰評価し過ぎですよ。私は三十歳を過ぎた女教師です。男子生徒の恋愛対象にはならないです。そんなことをしたら、犯罪になりますからね。でも、今、婚活中なんです。両親が『早く結婚しなさい』って、煩くて困ってるんです。ジョンソン先生は二十六歳ですよね。四歳年上ですけど、宜しくお願いします」
「えっ?」
ブラウン先生は俺を見てニコッと微笑んだ。
艶っぽい大人の女性。
その唇元に、思わずドキッとした。
「ダメですよ。ブラウン先生、着任早々の若い先生を口説かないで下さい。ジョンソン先生が困っているでしょう。結婚相手をお探しなら、職員室に独身教師が他にもいるでしょう。若い教師じゃなくて、少しは僕達も相手にして下さいよ」
他の先生に冷やかされ、ブラウン先生は明るく笑い飛ばした。
「うふふ、そうですよね。でも、そんな発言をされたら本気にしますよ。ジョンソン先生、さっきの話は気になさらないで下さいね」
「……はい」
ていうか、俺はそれどころではない。俺とアリッサムが担任と生徒になるのだから。
その日は入学式や着任式の打ち合わせをして、仕事を終える。
俺はユーツな気分のまま、屋敷に戻った。
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