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レースのカーテン越しに差し込む夕陽。
茜色に染まるアスターの横顔。
ボクはアスターにキスをした。
アスターにキスした途端、体に電流が流れたみたいにハートが痺れて熱くなった。
これが……ファーストキスなんだ……。
アスターはボクの憧れの人。
ボクはアスターにまた恋をしてもいいのかな。
キスに驚いてテンパッているアスターをもっともっと困らせたい。だって、アスターは子供のボクをあんなにも困らせたのだから。
ボクはもう十八歳だ。もう立派な大人なんだよって、アスターにアピールしたかった。
アスターはセントマリアンジェ校の教師になるんだよね。セントマリアンジェには美しい公爵令嬢や伯爵令嬢も在籍している。
アスターはきっとみんなの憧れの的になるだろう。
その前に、アスターに告白してもいい?
子供の頃に出来なかった告白。
誰かに奪われる前に、ボクが独り占めしたいから。
でもアスターは完全に怒っていて、ボクは全然相手にされない。
こうなったら、持久戦だよね。
毎日、毎日、この屋敷に押しかけてボクの魅力に振り向かせてみせる。
ボクのことをオトナだって、認めて欲しいから。
「……ていうか、アリッサム、もう食事を終えたなら帰っていいよ。今日はありがとう」
アスターはボクから視線を逸らして食事を続けている。その冷たい態度にもっと意地悪をしたくなった。
「なーんだ。つまんない。今夜、ボクが腕枕してあげようと思ってたのに。昔、アスターがボクを抱き寄せて腕枕してくれたみたいに」
ボクがウィンクすると、アスターは無言で睨んだ。
「アスターそんな恐い顔しないで。美男子が台無しだよ。アスター、ディナーご馳走様でした。おやすみなさい」
ボクは椅子から立ち上がると同時に、アスターの頬にチュッてキスをした。本当は唇を狙ったけど失敗した。
でも、アスターはすでに茫然自失だ。
ボクは小さな子供みたいにヒラヒラと手を振る。
仲良しだったあの頃を思い出して欲しかったから。
――『アスター、アスター、決闘しよう!』
ヤンチャな自分を思い出し、ちょっと笑えた。
玄関のドアを締めると、内側からガチャンと鍵を掛ける音がした。ボクはドアに視線を向ける。ドアの向こう側には、アスターがいる。
このドアは、禁断の扉……。
神様の悪戯だよね。
ボク達は同じ学校の教師と生徒になるんだから。
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