第4話  記憶

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 前回まで書いてから、公開設定をした。8月に書き始めたので8月の最後に予約してみた。ところがスマホが調子悪くなり、あたふたしたのでまったく更新できず

ここの予約公開をちょこっと先延ばしした。べつにどうでもいいことなのに、公開するかこのまま非公開でいくのかまだ迷っている。公開したところで誰も気に留めないだろうと思うからどっちでもいいのである。しかし万が一という事もあり誰か(じぶんを知るひと)に見つかると嬉しくない気がする。自由に書けなくなる。

まあいいや。どっちでもいい。

 高額なauの機種変更は絶対したくないので、一生懸命調べて格安スマホにした。

キャリアから格安スマホに移すにはどうしたらよいのか、少しだけ詳しくなった。

 明日から夫は地方に行くのでわたしは自由となりけっこう嬉しい。今でも充分に自由なのだけれど夜が一人なのでご飯もカンタンでいいし、夜まで遊べる。お酒は飲まないし夜遊びをする訳ではないけれど友達や彼氏と時間を気にせず過ごせる。


 夜まで遊べるというのは嬉しいものだ。子どもだった頃、暗くなるまで外で遊んで帰ってくるとよく親に締めだされた。「ごめんなさい」と玄関の外でよく泣いていた。玄関の鍵が閉められないうちに走って帰ってきたものだ。当時、武蔵野の雑木林と多摩川の近くに住んでいて「ひとさらい」が出る、と何度も聞かされた。実際に誘拐事件もあったのだろう。夕方になると確かにさびしくてこわかった。

 外灯も少ない時代。家の前にその数少ない電灯がポツンとあって、うちがそれを手動でつけていた。今では考えられない本当の話。

 成長して思春期になると親はわたしに厳しい門限を課した。わたしは少女になってボーイフレンドができても、やっぱり母に怒られるのがこわくて小走りに帰ってくるのだった。初めてのボーイフレンドは15歳のとき、公園でナンパされた二つ年上だったと思う。シッカリ名前を覚えている。苗字も名前も一文字で覚えやすかった。ろくでもない高校に行っていたがカッコは悪くなかった。手紙をやりとりし手を繋いで出かけた。キスされそうになった時には慌てて押し返した。

 一年くらいつきあったのだろうか。ある日、彼はわたしに告げた。「これからはあまり会えない、ある女性と仲良くなりステディな関係になった」と。その日わたしは泣きながら走って家に帰ってきて母を驚かせた。


 キスもできないわたしとつき合っていても彼だってつまらなかっただろう。相手の女性は19歳とのことだった。キスやエッチを拒否すれば男をとられるのだ、ということをわたしは学んだ。昔むかしの話。それからわたしはキスしてもよいと思える男に出会うまで何人かの人とつきあった。どうやって見つけたのか覚えていない。もうナンパにはのらなかった。無口で愛想がないくせにへんに気がつよい女の子だった。ある日「海が見たい」とつきあっていた人に言って列車で出かけたことがある。話しかけられてぽつぽつと言葉を返す。わたしが何か言ったとき「それはどういう意味?」と聞かれた。好きなタイプとか、そういう会話だったと思う。

 難しいことは言ってないのに話が通じなかった。ガッカリして思わず「うちに帰って辞書で調べなよ」と言ってしまった。相手は明らかに気を悪くしていたが

それでもちゃんと海を見て帰ってきた。もちろんファーストキスの候補から外した。


 何故こういう出来事を記憶しているかというと、書くことが好きだったので日記に書いたりそれを後から読んだりしたからだと思う。よせばいいのにそれらの日記や雑記帳の類はすべてとってあり、しかもダンボールに詰め込んで引っ越してきた。懐かしんで読むつもりだ。段ボールには「見てから捨てる」とマジックで書いた。悔しいとか悲しいとかの感情はもちろんあったはずだ。「かわいそうだったね」「でもがんばってきたね」とじぶんを慰撫したいのだろうか。。え!?そんなイヤな性格だったのかなあ、わたし。でもそんなものかもしれない。

 それからもしかしたら単純にストーリーとしてオモシロイと自己分析したのかもしれない。「成長譚」と言えるようなものではない。しいて言うなら「悪あがき?」。それはそれで懐かしさもあり、自分が書いたものを読み返す習性があるのでたぶんわたしは自分の書いたものを読むのが好きなのだ。好きにならなければ上達しない。文章力だけは多少なりとも身についている。そういう自負の原点なのかもしれない。


 だからダンボールをあけて読み返すと当時の事柄はもっとハッキリするのかもしれないが、まだ開けていない。ファーストキスは高校生の頃。夏休み、家に居たら当時つきあっていた人から電話があり「いま近くにきてるからすこしだけ出てきて」と呼び出された。母にすぐ帰ると言って夕刻の吉祥寺へ行き井の頭公園で初キス。突然だったので慌てて目を閉じた。母に叱られるから急いで帰宅した。カレーライスの夕食が待っていたことまでハッキリ覚えている。初めてのキスの生々しい感触もまだ覚えている。でも相手のことはあまり印象に残っていない。「まあいいかな」程度の人だったんだと思う。

 ようやくキスまで経験したので今度は初体験だ。マジメなわたしは本まで買って読んだ。ちょっとカッコよくて頭の良さそうな人がいい。わたしは大学生になっていた。当時の花形職業だったコピーライターに憧れ通信教育も受講してみた。公開授業で出会ったのだったか、そこで知り合ったサラリーマンがわたしの相手だった。

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