もふもふと花料理で癒しを提供致します!

みやび

もふもふと花料理で癒しを提供致します!

裏道にひっそりとある そのお店。


心が疲れ、ストレスを抱え、癒しを求めている人が多い世の中。


そんな要求に答えるお店がここにあった。


花を使った不思議な料理を提供するこのお店にはお客様の要望に答えたメニューをその場で作ってくれる為、メニュー表は置かれていない。


エディブルフラワーと言う食用花を使った料理は見た目も美しく食べるのが勿体無い程だ。


この店で食べたら、使われた花の花言葉が効能として現れると噂が流れている。


恋愛がしたいと悩むお客様にはピンクのチューリップを。

花言葉は「愛の芽生え」


不幸を嘆いているお客様には黄色のパンジーを。

花言葉は「つつましい幸せ」


壁にぶち当たり悩めるお客様にはアフリカン・マリーゴールドを。

花言葉は「逆境を乗り越えて生きる」


そんな不思議なお店には従業員はいない。


お店を手伝っているのは犬や猫。


そんな犬や猫のお仕事は まずお客様の元へ飲み物を運び、膝の上に乗る。


そして、お客様の悩みを聞いたら店長に知らせ、それにあった料理を作ってもらい、それをお客様の元まで運ぶ。


誰も犬や猫が人間の言葉が分かり、それを人間の店長に伝えるとは夢にも思わないだろう。


店が閉店になるとその犬と猫は自由な時間となる。


「今日もいっぱい働いたねっ!」


ワンワンと尻尾を振って犬は猫に話しかける。


「今日はいつもより人が多かったじゃにゃーか?これはマタタビを貰うチャンスだにゃー!」


猫はグルーミングをしながら犬の言葉に答える。


コツコツと足音を鳴らしながら、柔らかな笑顔の女性店長が犬と猫のご飯を持ってきた。


「ふふふ、お疲れ様。今日もありがとうね。ご飯にしましょうか。」


「ご飯!店長っ!ご飯!」


「にゃー!マタタビはにゃーかにゃー?」


「マタタビはお休みの日にしましょうね。店内が大変な事になりますから。」


優しい笑顔の店長に猫は罰が悪そうにそっぽを向く。

一度失敗をしているので強く言えない様だ。


「今度美味しい猫の花ご飯を作りますから、それで許してね。」


「にゃー…しょーがにゃーな。」


「僕も!僕も!花ご飯!食べたいっ!」


「えぇ、分かりました。犬の花ご飯も用意しますわ。」


しょんぼりと耳を垂れさせた猫に対し、犬は尻尾を振って催促をする。

そんな様子に店長は笑顔で答えていた。


そんな穏やかな閉店後のお店。


花と猫と犬によって疲れている人々の心を癒すお店には様々な悩みを抱えたお客様が来店する。


明日はどんなお客様が来店するのでしょうか。


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