自分を大事にしてくれない恋人と、このまま一緒にいていいのか。主人公美希のそんな悩みからスタートする本作。
恋愛における「このままか、断ち切るか」が主題にはなっていますが、美希が問題としている本質のところは、例えば「彼との未来は」とか「ほんとに好きなのか」みたいなところとは少し違った場所にあるように思えました。
希望と現実とが合致しない状況の中でどう決断し、動くか。
その答えはきっと掴み取るようなものではなく、例えば久しぶりに会った昔の友達との会話でふとそれに気付いた美希のように、背中を押してくれる流れとの出会いから生まれるものなのではないかなと思えました。
だから美希がひとつの決断にたどり着いた時、私はすごく爽快な気分になりました。
ささやかなことの積み重ねが人生を動かしていく。次の一歩を踏み出すための力に溢れた、優しくて強い物語です。