魔法使い、助ける。

「やっぱり夜遅くに町を出たのはまずかったかな・・・・・・。」

 僕は町を出て森の中を歩いていた。

 本当は夜明けと共に出た方が良かったんだろうけど多分明けたら世界中に僕が追い出された事は知れ渡るだろう。

 だとしたら面倒な事になるから出来る限り遠くの場所に行きたい。

「しかし、薄気味悪いなぁ、幽霊とか出ないよね。」

 ランプで辺りを明るくしながら僕は歩いていると『何か』が足にぶつかった。

「ん? 何か落ちてるなぁ、何だろう・・・・・・。」

 足元を照らしてみた。

「うっ!? ・・・・・・これって人の腕だよね・・・、しかも、この傷口は魔物に殺られた傷だ・・・・・・。」

 武器によりけりだけど刃物を使った傷口は綺麗にスパッとなっている。

 しかし、この腕の傷は力任せに折ったのかわからないけど乱暴な傷になっている。

 僕は慌てて駆け出した。

「うわぁ、これは酷い・・・・・・。」

 駆け出して数分後、僕の目に飛び込んで来たのは見るも無惨な光景だった。

 馬車は壊され、数人が倒れていて・・・・・・。

 明らかに襲撃を受けた後だろう。

「だ、大丈夫ですかっ!?」

「う、うぅ・・・・・・。」

「今、止血しますからっ!」

 僕は傷口に手を当てて

『治癒』

 ポワッとした光が僕の手から出て傷口がみるみる塞がっていく。

「あぁ・・・・・・、体が暖かい。」

「これで大丈夫だと思います。他に怪我人はいますかっ!?」

 この後、僕は何人かを治療した。

「助かった・・・・・・、私はある貴族の使いの者で大事なお金を渡しに行く所で襲撃を受けたんだ・・・・・・。」

「狙っていたかもしれませんね。あ、僕はマークスと言います。」

「マークス殿、本当にありがたい。出来れば護衛を頼みたいんだが。」

「僕は戦えませんよ。」

「いや、いるだけで良いんだ。もし何かあったら我々も兵士なので戦う事は出来る。」

 なるほど、この人達は兵士なのか。

「それだったら、もう一つ付けさせてください。」

 僕は兵士の武器に『強化』の魔法をつけた。

「これでさっきより戦えると思います。」

「マークス殿は魔法使いなのか?」

「えぇ、でも生活魔法というマイナーな魔法が使えるだけですけど。」

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追放された魔法使いは気ままに暮らしたい こうじ @hirasaku37

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