魔法使い、冒険者ギルドへ行く

 宿を出た僕はその足で『冒険者ギルド』へとやって来た。

「おや? マークスじゃないか。どうしたんだ、こんな夜更けに。」

「ギルマスこそなんで受付にいるの?」

「受付任せてる奴が急病で休んだから変わりにやってるんだよ。うちは人が少ないからなぁ。」

 そう言って苦笑いをするのはこの町のギルドのマスター。

 元冒険者らしく体格が良く豪快な人だ。

「それでどうしたんだ?」

「実はたった今パーティーを追放されました。」

「えっ!? マジかっ!?」

「それでギルドに預けていた僕のお金を貰いに来たんですが。」

「そうか、わかった。ちょっと待ってろ。」

 そう言ってマスターは奥に入って数分後に袋を持って帰ってきた。

「全部で金貨10000Gだ。」

「ありがとうございます。」

「で、どうするんだ? これから。」

「冒険者は向いてないので、どっかでのんびりと暮らそうかな、と。」

「魔法ギルドには連絡しないのか?」

「いや、僕はあんまり良く思われていないので・・・・・・。」

 ギルドには冒険者を統括している冒険者ギルド、その下に『剣士』、『魔法』、『格闘』、『聖職』と言った職業別のギルドが存在する。

 勇者とか聖女は『特別職』と呼ばれ国や教会に属している。

 で、僕が所属しているのは当然『魔法』になるんだけど、ハッキリ言って関係は良くない。

 ミアナのごり押しで僕が勇者パーティーの一員になってしまったが、実は魔法ギルドは一流の魔法使いを用意していた。

 しかし、僕がなってしまった事で、まぁ様々な嫌がらせを受けた。

 魔法ギルドとしては僕を追い出してその魔法使いを勇者パーティーに入れたかったみたい。

 まぁ、見事に思惑は当たった。

「じゃあ、俺の方で処理しておく。」

「よろしくお願いします。それじゃあ僕は出ていくので。」

「達者でな。」

 僕は冒険者ギルドを出た。

「さて、これから気ままな旅に出ますか。」

 一応、整理はついたので冒険者としての僕は廃業だ。 

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